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[選手権予選]“浦東魂”浦和東が予感吹き消し、難敵正智深谷を撃破:埼玉

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[11.2 全国高校選手権埼玉県予選準々決勝 正智深谷1-1(PK3-4)浦和東 駒場]

 第93回全国高校サッカー選手権埼玉県予選の準々決勝が2日、駒場スタジアムで行われた。第1試合では浦和東高正智深谷高を1-1から突入したPK戦を4-3で制し、4強に駒を進めた。9日に行われる準決勝では市立浦和高と対戦する。

 浦和東を率いて2年目の鈴木豊監督には嫌な予感があったという。「正智さんと(今年のチームは)勝ち、負け、勝ちで来ていた。新人戦で勝って、関東大会予選で負けて、リーグ戦(S1リーグ)で勝っていた。嫌な巡りあわせだなと」。失笑をさそった鈴木監督は、「今日は選手がよくやってくれた」と口元をゆるませた。

 試合を動かしたのも浦和東だった。後半16分、MF佐藤直輝(3年) がクロスを上げると、ニアでMF大澤潤矢(3年)がつぶれる。最後は「体が勝手にファーに動いてくれた。決めるだけだった」と話したFW松本雄太(3年)がヘディングで押し込み、先手を奪った。

 だが正智深谷も意地を見せる。後半27分、MF小島遥(2年)のシュートはDFに阻まれたが、こぼれ球をFW福井康太(3年)が豪快に蹴り込み、試合を振り出しに戻してみせた。

 1-1のまま延長戦に突入。しかし決着は付かず、勝敗の行方はPK戦に委ねられることになった。2人ずつが外して迎えた4人目、浦和東は延長戦に入ってPKを外していたMF岩出拓也(3年)が蹴る。「止められたままでいいのか」と鈴木監督に送り出されていた岩出が今度は難なく成功。流れを引き寄せると、6人目のPKをGK豊田駿(3年)が止めて、PK戦勝利へ繋げた。

 正智深谷のミドルシュートがクロスバーを叩くなど、序盤はヒヤヒヤした浦和東だが、しっかり勝ち切る勝負強さを見せた。そこには夏に味わった苦い経験があると鈴木監督は話す。「総体(1回戦)で(準優勝の)大津さんにボコボコにやられた。やっぱり選手たちにも、もう一回あの場所に戻りたいという思いがあると思う。もちろん決勝に進んだチームですから、大津さんは強かった。でも跳ね返されたことで、もう一度トライしようという気持ちになれた。大会の後の遠征で強豪校と試合をやって負け続けたことも、いろんなシミュレーションになっているのかなと思います」。転んでもただでは起き上がらない。“浦東魂”で全国まで突っ走る。

(取材・文 児玉幸洋)

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