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[MOM1188]ルーテル学院GK前田幸志(3年)_勝利へ導く「褒める」コーチングと守備範囲の広さ

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.2 全国高校選手権熊本県予選準々決勝 ルーテル学院高 1-0(延長)熊本国府高 水前寺公園競技場]

 ルーテル学院高は今年、守備に関しては「球際で優しいところがあって、潰すところで潰せないところがある」と小野秀二郎監督が評するように、熊本県リーグ1部でも3位に付けながら、失点はワースト2位の36失点と守備に不安を抱えていた。しかし、今大会に於いては2試合連続で完封勝利を挙げ、得点力不足に悩むチームは守備で勝利を掴んできた。この原動力となっているのが、最後尾からチームを盛り上げるGK前田幸志(3年)だ。「裏のスペースの背後をケアすることと、最終ラインとの連係に自信がある」と本人も語るように、この日の試合でも判断よく飛び出してチームのピンチを救ったが、最も目立っていたのは「コーチング」の部分だった。
 
 序盤から熊本国府に押し込まれる時間が長くなったが、最後尾から「大丈夫」「次はやろう」という言葉で仲間を掛け励まし続けた。しかし、このような声掛けを元々出来ていた訳ではない。

「主将の中原があんまりしゃべらないタイプで、プレーで引っ張るタイプでした。なので、自分がそこを補ってコーチングをしていこうと思いました」(前田)と副主将に就任した際から声を出してきたが、怒鳴ってしまい、メンバーのモチベーションを下げてしまうこともあった。
 
 ただ、今年の8月にメンタルトレーナーがチームに加わり、ポジティブな伝え方を教えられた。「『もっと行けよ』とかではなくて、『次は頑張ろう、次はやろう』という風に教えられて言い方を変えました。これを取り入れるのにも自分の中ではそんなに抵抗はなかったです」と、素直にそのアドバイスを受け入れて実践。「自分も厳しく言う時は厳しく言っているのですが、褒めてあげると、いつもより仲間も乗ってくる。だから、そこで頑張ってくれるような褒め方をするようにしています」とその効果を感じている。
 
 最終学年となって挑む選手権予選には3年連続で出場をしてきた。特に1年生の時は県予選決勝まで進みながらも、DF植田直通(現鹿島)を擁する大津高に敗退。「自分が味方に蹴るボールを全て植田さんに全部跳ね返された。悔しさは覚えている」とその時の思いはしっかりと覚えている。今大会はその悔しさを晴らす最後のチャンス。「(今年)大津が全国2位だからとかは関係ない。同じ高校生なので全然勝てると思っています」ときっぱりと言い切り、王者・大津に負ける気などさらさらない。2年前のリベンジを決勝でするためにも、新たに身に付けた「褒めるコーチング」を武器に準決勝でも声を出し、チームを勝利に導いてみせる。

(取材・文 松尾祐希)
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