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[選手権予選]帝京三が延長戦で日本航空に勝利!山梨連覇に王手

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[11.1 全国高校選手権山梨県予選準決勝 日本航空高 1-2(延長)帝京三高 中銀スタ]

 1日、第93回全国高校サッカー選手権山梨県予選準決勝が甲府市の山梨中銀スタジアムで行われ、2連覇を狙う帝京三高と2年ぶりの優勝を目指す日本航空高が激突。1-1で突入した延長前半4分にFW小山駿(2年)が決めた決勝点によって、帝京三が2-1で勝った。
 
 近年の対戦では日本航空がボールを握り、帝京三がカウンターを狙う展開が多かった印象だ。だが、今年は日本航空の仲田和正監督も「(日本航空は)ノージャッジのプレーが多かったよね。(ボールが)来て、感覚だけでやっていた。しっかりジャッジして行く、左行く、バックパス入れる。そういう要素が全然雲泥の差だったと思う、帝京の子と」と認めたように、プレーの精度、判断の部分で勝る帝京三が立ち上がりから完全にボールを支配し、押し込んで試合を進めた。

 ただ、取り組んできたポゼッションスタイルから、総体予選で初戦敗退した夏以降は割り切って守る部分を打ち出してきた日本航空は我慢強い守り。帝京三は全国総体で4得点をたたき出しているFW鳥居岳(3年)にボールを集め、左MF土屋守(3年)のクロスやFW村上光樹(2年)の1タッチパス、MF佐野達也(3年)の個人技などを交えて攻め込んだが、日本航空は昨年からゴールを守るGK吉田雅貴(3年)中心にシュートを打たせない。逆にファーストチャンスを見事にゴールへと結びつけた。前半23分、日本航空はカウンターから左オープンスペースへ入れたボールに10番MF山室厳己(3年)が走り込むと、そのままゴールライン際までえぐってラストパス。これを処理しようとした帝京三DFのミスを逃さずにFW堀田大雅(2年)が先制ゴールを押し込んだ。ミスも絡んだ失点でリードを奪われた帝京三はやや焦りが出てしまい、攻撃が単調になってしまう。対する日本航空はアタッキングゾーンまでボールを運ぶと、3人、4人が絡んだ崩し。前半39分には判断良くボールを動かし、最後は山室からのパスを受けたMF山崎翼(3年)の右足シュートが右ポストをかすめた。

 だが、後半開始直後、帝京三が同点に追いつく。土屋の左クロスをDFの前に入り込んだ佐野が左足ダイレクトボレー。電光石火とも言える一撃で試合を振り出しに戻した。アドバンテージを失った日本航空に対して帝京三は右の佐野やDF穂坂勇希(2年)、左の土屋がサイドを切り崩してクロスを入れてくる。日本航空は1年生CB松土準やCB{赤石幸太郎}}(2年)、MF井上駿(2年)がクリアに徹してピンチを逃れて行く。その気迫あふれる守りを攻めあぐねた帝京三に対し、日本航空は22分に山室が右アーリークロスからヘディングシュート。25分には左CKのこぼれを拾った山室の左足シュートがDFに当たり、ゴール方向へ飛んだ。だが、これはGK平良豪盛(3年)がかき出して勝ち越し点は生まれない。日本航空はカウンターからいい形もつくっていたが、5バックを敷いて常にDF3人が残っている帝京三の前に攻撃の精度を欠いて得点に結びつけられなかった。

 試合は1-1のまま延長戦へ突入。その前半4分、左サイドでボールをもった帝京三の土屋が「(GKが飛び出してくるので)延長入るときにスタッフから『クロスを狙わずにゴールに向かって思い切り蹴れ』と言われていた」とゴール方向へのクロスを選択。これがDFに当たってGKの頭上を越える。「ちょっと足に当たって狙いとずれていたけれど」(土屋)という一撃をファーサイドから飛び込んだ交代出場の小山が難なく右足で押し込んで帝京三が勝ち越した。

 後半終盤から小山、MF塚越隆成、FW梅田隆次と立て続けに2年生アタッカーを投入していた帝京三はこの後、スピードのある塚越らが決定機を連発。佐野やMF杉浦大介(3年)の好守に支えられて2年生たちが躍動する。だが、3点目を阻止した日本航空は延長後半6分にビッグチャンスを迎える。ロングボールにタイミングよく飛び出した赤石が決定的なヘディングシュートへ持ち込んだが、帝京三は飛び出した平良が何とか手に当てると、こぼれ球に反応した日本航空MF佐藤和斗(1年)の左足シュートも平良がブロック。熱戦を制した帝京三が連覇へあと1勝とした。

 帝京三の決勝の対戦相手は夏の総体予選決勝で0-1で敗れている山梨学院高。ともに今夏の全国高校総体では16強へ進出したが、予選決勝では完全に試合を支配されて敗れている。それだけに相良和弘監督は「(夏は)守って終わっちゃったんで。守備してどこまで前にボールを運べるシーンがつくられるかどうか。インターハイ経験して夏からどれだけ成長できたか。今度は守ってばかりだと終わっちゃうんで、どこかで行かないといけない。行くだけのパワーが果たして付いているのか、付いていないのか」。そのパワーが付いているのかの問いに指揮官は「付いてなきゃ困ります。付いていると思ってやります」と決勝を見据えた。

 選手たちには専修大や法政大、中央大といった大学生との練習試合を重ねてスピード、フィジカルの部分の経験を積んできたという自負がある。ライバルを倒すための準備は十分にやってきた。佐野は「夏のインターハイで何にもできなかったという感じだったので、選手権では何もやらせないくらいやっていければと思います。学院も相当強いので、自分たちのサッカーができるか分からないですけど、みんなで弱いところとか見せないで、相手がビビるくらいやっていきたいです。1点決められてもここ最近は返せるようになって、守備とか球際とかインターハイ負けてから結構変わってきている」と自信を見せる。またゲーム主将のDF佐藤康二郎(3年)も「(自信は)ありますね。正直、自分らその後に走ったという面もありますし、気持ちの面も一回経験しているので、どういう選手がいるか分かっている。対応できやすいという部分もある。自分ら準備してきたっていう自信はあるので、それを糧にして勝ちたいです」と力を込めた。ライバルとの差を詰め、追い越すことができたのか。11月8日の決勝で証明される。

(取材・文 吉田太郎)
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