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[MOM1194]京都橘MF志知大輝(3年)_鎌田封じに攻撃参加も見せた“小さな巨人”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.1 全国高校選手権京都府予選準々決勝 京都橘高 3-2 東山高 山城総合運動公園]

 試合の行方を占う上でポイントとなったのが両チームのエースの存在だ。京都橘高のFW中野克哉(3年)がドリブルで局面を打開し、CKのキッカーとしても2得点を演出した一方、東山高のFW鎌田大地(3年)は思うような仕事をさせてもらえなかった。京都橘は2失点こそ許したが、80分間(準決勝までは40分ハーフ)で許したシュートは僅か5本。前半は先制点の1本のみに抑えている。勝利の要因となった守備において、MF志知大輝(3年)の存在は大きかった。

 試合後に「(鎌田)大地は中へ切り込みたがる。練習から、みんなと“外へ持ち出させるような対応をしよう”と話していた」(志知)と明かしたように、1週間の準備期間で“鎌田対策”をチームとして施していた。鎌田に引いた位置でボールは持たれても、ゴール前やバイタルエリアといった危険な位置では自由にプレーさせない。「そこのメリハリを持って対応できたと思う。チームとしての守備を80分間やれたことが大切だった」と手応えを口にしている。その中で志知はボランチとしてパスコースを切り、スペースもカバー。さらにボール奪取やインターセプトからの攻め上がりで攻撃にも顔を出すなど、その活躍は多岐にわたっている。

 岐阜県出身。現在も実家から新幹線と在来線を乗り継いで京都橘に通学している。「帰りはさすがに練習で疲れて寝ちゃうことが多いんですけど(笑)」と話すが、行きの車内では教科書に目を通すなど高い意識を持つのも、家族の3年間に渡るサポートに感謝しているからだ。最高学年となった今年は副主将に就任。主将のDF林大樹(3年)が負傷によりスタメンから外れているため、今予選は志知が左腕にキャプテンマークを巻いている。身長は高くないが、この日ピッチ上で見せた輝きは誰よりも大きい。プレーや精神面でチームを牽引する姿はまさに“小さな巨人”だ。

 全国準優勝を果たした一昨年は1年生ながらベンチ入りし、翌年の新チーム発足と同時にレギュラーへ定着。運動量と危機察知能力を活かして、中盤の底でピンチの芽を摘み続けるボランチが目指すのは、もちろん過去2大会で果たせなかった全国優勝だ。東山に勝てたことを喜ぶ中、まだ全国への切符をつかんでいないことについて尋ねると「インターハイの時(準々決勝で東山に勝利)と同じ。浮わつきは無い。次のトレーニングから切り替えます」と即座に頼もしい言葉が帰ってきた。今年は最終学年、選手権に賭ける思いがより強くなった男がチームを牽引する。

[写真]中盤で競り合う京都橘MF志知(右)と、東山FW鎌田

(取材・文 雨堤俊祐)
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