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恩師と獲得した初タイトル G大阪DF岩下「ミスしても使い続けてくれた監督に感謝」

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[11.8 ナビスコ杯決勝 広島2-3G大阪 埼玉]

 ミックスゾーンでは、涙が溢れた。前半19分、ガンバ大阪のDF岩下敬輔は、PA内でハンドの反則を取られてしまう。このPKをサンフレッチェ広島のFW佐藤寿人に決められて先制点を許すと、さらに前半38分、再び岩下のクリアーミスから失点を招いてしまう。

「自分のミスだったので、悔しかった。ハーフタイムに切り替えようと思った」と、岩下は振り返る。そのハーフタイムを迎える前、G大阪はMF遠藤保仁のパスをFWパトリックがヘッドでゴールに決め、1点を返した。「前半に1点返せたのが大きかった。後半は、上手く切り替えることができたと思う」と言う岩下は、「後半を(失点)ゼロで抑えることができれば、うちの攻撃陣であれば、チャンスを決めてくれると思っていた」と続けた。

 岩下の期待通り、後半に入ってG大阪は攻撃陣が爆発。後半9分にパトリックが2点目を決めて試合を振り出しに戻すと、同36分にはMF大森晃太郎が逆転ゴールを決めた。「ガンバの強みは攻撃力。点が取れるチーム。ガンバに来て良かった。いつも仲間に助けてもらっている」と、自身のミスを帳消しにしてくれたチームメイトたちに感謝した。

 さらに岩下は、長谷川健太監督にも感謝する。「ミスをしても信頼して使い続けてくれている監督に感謝したい。清水のときも、天皇杯は決勝で負けて、タイトルをプレゼントできなかったのでうれしい」と喜ぶ。

 長谷川監督が清水で指揮を執っていた05年から10年、岩下は清水でプレーしていた。試合後の記者会見で長谷川監督は、愛弟子である岩下のミスをイジり「『また岩下か』と思ってですね」「早々にPKを取られて…。その後もテンパって、クリアーミスとかしてくれまして」とコメントしたが、岩下自身にも「ちゃんとやれよ!」と、試合後に言っていたという。

「監督からは『ちゃんとやれよ!』みたいに言われて、『すみません』って謝りました」と、目に涙を浮かべながら岩下は苦笑し、「ただ、その後に『気持ちを切り替えて、よくやってくれたな』と言ってくれた。僕自身もホッとしていますし、使い続けてくれた監督に感謝しています。ただ、その信頼に甘えることなく、大事な試合で今後も信頼して使ってもらえるように、もっともっと練習から1プレー1プレー、気を抜かずにやっていきたいと思います」と、恩師とつかんだ初タイトルに、更なる成長を誓った。

(取材・文 河合拓)
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