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[選手権予選]名将・小嶺総監督も認める姿勢、長崎総科大附が4-0勝利で3連覇王手:長崎

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[11.9 全国高校選手権長崎県予選準決勝 長崎日大高 0-4 長崎総合科学大附高 百花台公園サッカー場]

 第93回全国高校サッカー選手権長崎県予選は9日、雲仙市の長崎県立百花台公園サッカー場で準決勝を行い、3連覇を狙う長崎総合科学大附高長崎日大高に4-0で快勝。長崎総科大附は16日の決勝で海星高と対戦する。

 国見高、島原商高を全国王者に導いてきた名将・小嶺忠敏総監督や国見の選手として日本一を経験している定方敏和監督の下、近年メキメキと力をつけてきている長崎総科大附。今年に関しては小嶺総監督も「今まではサッカーに対する考え方がなっていなかったから。服装もでたらめだし、時間には遅れてくるし。歴史がなかったから、私が国見にいた最初の頃と一緒だからね。(だが今年)練習に臨む姿勢、試合に臨む姿勢はだいぶ良くなってきた。その中で彼らは彼らの力を最大限に発揮していると思う」と目を細めるチームになっている。長崎総科大附はこの日、前半終了間際に先制点を奪うと、試合終盤にも着実に加点して快勝した。

 長崎総科大附は試合開始直後、FW中島成斗(2年)が敵陣でインターセプトすると、それを追い越してPAへ飛び込んだ13年U-17日本代表候補FW安藤翼主将(3年)が決定機を迎える。さらに4分には右サイドを抜け出したFW日野友貴(2年)の右足シュートが左ポストを叩いた。安藤が「相手が上手くてパスを回してくるチームだったので、自分たちは泥臭く前からプレスして、奪ってカウンターと言う狙いを持って、それを徹底して行こうと言っていました」という長崎総科大附はカウンター、クロス、セットプレーから次々とシュートシーンをつくり出してくる。
 
 対する長崎日大は「OK!」と声を発すれば確実に豪快なヘッドでボールを跳ね返していたCB野村龍司(3年)や、切り替えの速い攻守が印象的だった左SB高橋大寿(2年)ら中心に我慢強い守り。相手の先制点を何とか阻止した長崎日大は、攻撃面でも最終ラインやMF馬場海斗(2年)らが丁寧にボールを動かし、反撃に繋げる。34分にはカウンターから右サイドで高橋が1人かわし、右MF山田大貴(3年)のクロスをFW井原楓人(2年)が右足で合わせた。

 だが、前半を通して主導権を握っていたのは長崎総科大附の方。前線でボールを収める安藤やMF洪準基(3年)が攻撃時間やアタックする回数を増やし、右DF出道元太(3年)から決定的なクロスボールも入っていた。そして迎えた36分、長崎総科大附は相手のクリアボールを拾うと、洪が左サイド後方からクロス。これに走りこんだ出道が頭で押し込んで先制点を奪った。

 長崎日大も後半立ち上がりに同点機を掴んだ。6分、敵陣でのインターセプトから馬場が右前方へスルーパス。山田の右足シュートのこぼれ球をFW田原伊織(3年)が右足で叩く。だが、シュートは外側のサイドネット。長崎日大は9分にもカウンターから右SB松林潤也主将(3年)のグラウンダーのアーリークロスがPAに入る。絶妙なボールに交代出場のMF岩永聖弥(3年)が決定的な形で飛び込んだが、わずかに合わせることができず、追いつくことができない。

 反撃を受けた長崎総科大附だったが、安藤やベンチの期待を上回るプレーを見せた左DF高倉拓紀(3年)らが、ゲームを落ち着かせる。そして小嶺総監督が「今まで怪我が多くてさっぱりダメだったけれど、最近良くなったから出してみたら当たったね。きょうみたら動きよるね。シャープだよね」と評した日野や、「しっかりやっていますね。よう、やりよる。ミスも多いですけど、大したもんですよ」と讃えた1年生DF伊原虎之介といった下級生も躍動。そして31分、交代出場のFW國場剣聖(3年)の左足シュートのこぼれ球を日野が押し込むと、37分には國場の左クロスをファーサイドの洪が右足で押し込んで3-0と突き放した。

 長崎総科大附は40分にもポジションをボランチに上げていた伊原がループシュートを決めて連覇へ王手をかけた。前日の国見戦では2度追いつかれてPK戦の末に、辛勝。GK松村優太郎(2年)は「決めた後の集中力がなかった。でもきょうはきのうより球際とかしっかり行けたし、みんな勝ちたいという気持ちが強かったと思います」と頷いた。総体予選でPK戦の末に敗れた長崎日大にきっちりと借りを返して見せた。

 名将が認めた取り組みの姿勢。安藤は「夏休みとか、『昔の国見とかに比べたら全く』と小嶺先生にも言われるんですけど。やってきた部分はどこの高校にも負けない自信がある。小嶺先生を日本一にして胴上げしたいと言う目標がある。その大きな目標に向かってやっていきたい」と誓う。その目標を成し遂げるためにも、まずは何としても全国に出場すること。そして、かつて全国をトップに君臨していた位置に長崎のサッカーを押し戻すと言う目標がある。

 現在、国見が高校選手権優勝6回を記録した80年代後半から00年代前半までとは状況が違う。長崎代表は選手権で全国8強に残ることも難しくなっている。長崎がもう一度全国トップに立つためにやらなければならないことは多い。小嶺総監督は「まだまだレベル低いからね。レベルを前のように上げないかんと思うんだけど。力をつけたチームが出ないといけない。(現在は長崎県の中学生たちが他県の強豪校などに進学する状況だが)長崎の子たちに(地元で)勝負したいと思わせるには、全国で力を出さないといけないし、Jリーグの選手も出ないといけない。『なんだ。はるばる行く必要がないじゃないか』としなければいけない。コツコツやらなきゃいけないと思っています」。質については「まだまだ」と語る小嶺総監督だが、選手たちが「どこにも負けない」と言い切る日常、試合での取り組みでまずは長崎を制し、日本一に挑戦する。

[写真]前半36分、出道の先制点を喜ぶ長崎総科大附イレブン

(取材・文 吉田太郎)
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