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本田のゴールをお膳立てした長谷部「全然狙っていなかった」

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[11.14 キリンチャレンジ杯 日本6-0ホンジュラス 豊田ス]

 これがキャプテンとしての矜持だ。アギーレジャパン初出場となったMF長谷部誠(フランクフルト)がアンカーのポジションでピンチ粉砕とゴール演出を同時にやってのけたのは前半41分だった。

 1点を失って前がかりになっていたホンジュラスの攻撃に対し、バイタルエリアで果敢にスライディングしてボールをカット。これが前線にぽっかり空いたスペースへ転がってFW本田圭佑(ミラン)に渡り、チームの2点目へとつながった。

「全然狙っていなかった。普通にクリアしただけ。でも良いところへ行った」

 長谷部が言うとおり、確かに狙ったパスではなかったかもしれない。しかし、気持ちが入っていたからこそ生まれた“ナイスパス”だ。最終ラインでピンチに備えていたDF酒井高徳は「あそこは長谷部さんが闘志を見せたからこそ得点につながったのだと思う」とベテランの泥臭いプレーに脱帽した。

 9月、アギーレジャパンの初陣に招集されながらも左膝違和感で離脱を余儀なくされた。この間の日本代表の成績は1勝1分2敗。経験のある選手が戻ったからには結果を出さなければいけないと感じながらのホンジュラス戦だった。

 結果は6-0の大勝。「相手がもう少しレベルの高いチームなら個人技で打開してきたと思う」と手綱を締めつつも「それでも6-0で勝てるというのはなかなかない。それは評価できる」と胸を張った。

 ブラジルW杯以来となったキャプテンマークについては「個人的にはいろいろ思うところはあるけど、光栄なことなのでまっとうしたい」と慎重な口ぶりだ。後半33分にベンチに退いたあとは、これまでの4試合のうち3試合でゲームキャプテンを務めてきた本田にキャプテンマークを渡しており、「圭佑はキャプテンシーを持ってやっている。そういう選手が増えてくればいい」と信頼感も示している。

 とはいえ、長谷部が戻ったタイミングでピッチ内外でチームが引き締まったのもまた事実と言える。1月のアジア杯に向け、“キャプテン長谷部”がその存在感をあらためて膨らませた。

(取材・文 矢内由美子)

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