beacon

有言実行の3年2か月ぶり弾も…麻也「かすんじゃった」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[11.14 キリンチャレンジ杯 日本6-0ホンジュラス 豊田ス]

 泥臭く頭を突き出した。前半9分、MF遠藤保仁の左CKにニアで合わせたFW岡崎慎司のヘディングをGKが前に弾くと、DF吉田麻也が頭で押し込んだ。

「やっと入った」。11年9月2日のW杯アジア3次予選・北朝鮮戦以来、約3年2か月ぶりとなる国際Aマッチ3得点目。ベンチから飛び出してきたGK西川周作らと“ゆりかごダンス”を披露し、11日に次女が誕生したばかりの西川を祝福した。

 西川は「試合前から(吉田)麻也が『今日、ゴールを決めて、絶対にゆりかごをやる』と言ってくれていた。有言実行のすごさに鳥肌が立った」と明かす。宣言どおりのゴール&“ゆりかごダンス”だったが、吉田は「そのあと5点取られて、かすんじゃった」と苦笑い。とはいえ、アギーレジャパンで初となるセットプレーからの得点が、6-0のゴールラッシュの口火を切った。

 左足首を負傷した9月20日のスウォンジー戦以来、約2か月ぶりの公式戦だった。「立ち上がりに数回、パスミスがあったけど、そこだけ。そんなに違和感はなかった」と、試合勘の不安も払拭した。

 後半4分にはGK川島永嗣と激しく接触し、首の後ろを痛めるアクシデントもあった。一度は担架で運び出されたが、すぐにピッチに戻り、フル出場。ブラジルW杯グループリーグ初戦のコートジボワール戦以来となるDF森重真人とのコンビで、アギーレジャパン2度目の完封勝利に貢献した。

「ボール回しのテンポも良かったし、やろうとしていたことをピッチで表現できた。守備でもリスクマネジメントをして、カウンターに備えて、失点をゼロに抑えられたのはよかった」

 10月の合宿を負傷で辞退した吉田にとっては9月以来の代表戦。DF内田篤人、MF長谷部誠、MF遠藤保仁らもこの日がアギーレジャパン初出場で、ブラジルW杯メンバー10人が先発に名を連ねた。

「ベテランの選手、経験のある選手が入ったことで、9月よりはチームが引き締まったと思う。アジア杯に向けて、ベテランも若手も関係なくアピールしていかないといけない状況の中でこういう戦いができたのはよかった」。来年1月に迫ったアジア杯を前に“役者”の戻ったアギーレジャパン。5戦目にしてあらためてリスタートを切ったことを印象付ける大勝だった。

(取材・文 西山紘平)

TOP