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[プレミアリーグEAST]昇格1年目の首位・柏U-18、トップチームと同じ「昇格即優勝」へ王手!

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[11.22 高円宮杯プレミアリーグEAST第16節 柏U-18 3-1 市立船橋高 日立台総合G人工芝]

 22日、高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プレミアリーグEAST第16節の柏レイソルU-18(千葉)対市立船橋高(千葉)戦が行われ、首位の柏が3-1で勝利。残り2節で2位・清水エスパルスユース(静岡)との勝ち点差6を守った柏は、青森山田高(青森)と戦う次節(30日、日立柏サッカー場)、引き分け以上で自力Vが決まる。

 J2から昇格1年目の11年にJ1タイトルを獲得したトップチームのように、柏のU-18チームが快挙を成し遂げようとしている。プリンスリーグ関東から昇格1年目ながら、高校年代最高峰のリーグ戦・プレミアリーグEASTで首位を快走。次節は優勝を争う清水の動向に関係なく、柏は引き分け以上で初優勝が決まる。下平隆宏監督は「今年プレミアに昇格させてもらって、『昇格即優勝というトップチームが成し遂げたことをやってみようぜ』と取り組んできた。それが今リーチがかかっている状態まで来ているので、また次頑張ります。次節ホームで、スタジアム(日立柏サッカー場)でできるので、スタジアムで優勝決めてみんなで喜びたいと思います」と語った。
 
 柏は11月8日のJユースカップ2回戦で神戸U-18に2-4で敗れ、市立船橋は同16日の全国高校選手権千葉県予選決勝で流通経済大柏高に2-3で敗戦したばかり。気持ちの切り替えが難しい状況だったことは間違いない。ただ、プレミアリーグ首位の柏は大目標のプレミアリーグ制覇、同4位の市立船橋も朝岡隆蔵監督が「こういうリーグ戦のシステムをサッカー界で作っている中で、気持ちの浮き沈みをつくっているチームが一番弱いと思います。だから、そういう意味ではもちろん選手権も大事だけど、この残留ということが優先順位が高かったですから、今年で言えば」と語ったように、所属している高体連のチームは全国でわずか7校のみであるプレミアリーグ残留を決めるという明確な目標をもって、この試合への準備を進めてきていた。

 試合は柏がボールを支配する展開。主将のMF中山雄太(3年)は「(Jユースカップの神戸U-18戦では)相手の方がボールを多く握っていたという印象が強い。ボールを握っていないと自分たちのサッカーができない、と守備に取り組んできた成果が出たと思います」と説明したが、最終ラインが中盤、前線の選手を押し出すように高い位置取り。そして前線からのプレスで市立船橋のボールを奪って攻撃に繋げていく。例え網からボールが抜け出てきても中山と上島拓巳(3年)の両CBがシャットアウト。そしてMF手塚康平(3年)、MF麦倉捺木(3年)、MF山崎海秀(2年)を中心に連動性のある攻撃で局面を切り崩そうとした。

 一方、市立船橋も圧倒的な声でチームを動かすCB藤井拓主将(3年)やGK志村滉(3年、ジュビロ磐田内定)を中心に集中力の高い守備。そしてボールを奪うと、前線中央に入ったMF高宇洋(1年)やMF古屋誠志郎(2年)が少ないタッチで相手のプレッシャーをかいくぐってボールを繋いでみせる。敵陣深い位置まで攻め返してCKを獲得し、右SB打越大樹(3年)がヘディングシュートを放つなどゴールへ迫った。ただ相手ボールを引っ掛けても、柏の鋭いプレスの前にミスを誘発されて攻撃回数を増やすことができない。逆に柏は23分、左サイドからFW大島康樹(3年)を経由して逆サイドまでボールを動かし、右SB加藤颯人(3年)が右足でフィニッシュ。左の古賀太陽(1年)や右の加藤が再三PA近くまで押し込んでくる柏は、41分にも麦倉のループパスを右サイドへ飛び出したMF会津雄生が頭で折り返し、走りこんだ大島が決定的な右足ボレーを打ちこんだ。

 そして後半9分、柏が先制点を奪う。相手のミスからボールを奪うと、タイミング良く右オープンスペースを突いたMF熊川翔(2年)へ山崎がパスを通す。そして左サイドからPA内ニアサイドまで走り切った麦倉が熊川の折り返しを左足ダイレクトでゴールへ押し込んだ。市立船橋も直後に高の決定的な一撃がポストを叩く。だが柏は14分、右サイドへ飛び出してボールを引き出した大島がクロスを入れると、会津が右足でゴールへ叩き込んで2-0とリードを広げた。

 それでも市立船橋は16分、中盤でインターセプトすると左SB杉岡大暉(1年)の左クロスをMF小池豊(2年)が右足で合わせて1点差。そして23分には藤井のフィードを古屋が頭で流し、MF鵜澤恵太(3年)が決定的な右足シュートを放つ。32分にも小池が自ら獲得したFKを右足で狙う。押し込まれながらも勇気を持って前へ出て、勝機を見出していた市立船橋だったが、簡単にボールを失わない柏の壁は高く、GK木村真(3年)の守るゴールを再び割ることができない。逆に柏が33分に試合の行方を決定づける1点を奪う。麦倉の左CK後の混戦から山崎が左足でゴールを破り、3-1で勝利した。 
 
 敗れた市立船橋だが、他会場の結果によって目標のプレミアリーグ残留が決定。一方、柏は優勝へ大きく前進する白星を掴んだ。個々のレベル高い今年の柏だが、それだけに頼ることなく、チームとしての課題を整理しながら一戦一戦成長。下平監督は「なんか全然積み上がっていない、整理されていない状況だったり、何か個の力で点が入ったような状況で行っても、そこにタイトルはないと思う。チームが積み上がって行った結果、一年の集大成がそこにあると思う。そういう風にしていきたいなと思っている」。この日出たビルドアップと、フィニッシュの間の部分の課題をチームとしてまた改善して次へ進む。

 次節は、トップチームのホームスタジアムである日立柏サッカー場で優勝を懸けた大一番。2年生のMF熊川は「優勝決めて、3年生の日立台での最後の試合をいい形で終わらせてあげたいので試合に出たら頑張りたい」と誓い、中山は「(ホーム)最後の試合でしかも日立台。プロの選手がやっているサッカースタジアムでできるというのは会社の人たちや、他の人たちのサポートがある。だから、そういう人たちのためっていう訳ではないんですけど、そういう人たちも最後締めくくりなので勝ちたいですし、自分たちのサッカーをして勝ちたいと思います」。一年間積み上げてきた成果を優勝を懸けた一戦で披露し、最高の舞台での「特別な試合」を笑顔で終える。

[写真]柏U-18は麦倉の先制点などでV王手

(取材・文 吉田太郎)
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