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[MOM1234]青森山田MF野口雄輝(3年)_発揮された攻撃センスと「日本一奪取」のための守備

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.30 プレミアリーグEAST 柏U-18 0-0 青森山田高 柏]

 試合前に優勝を決めていたとは言え、柏レイソルU-18は6位・青森山田高に苦しめられた試合だった。特に前半は青森山田にポゼッションで上回られて決定機も作られたほど。その青森山田で印象的なプレーを見せていたのが、トップ下に入ったMF野口雄輝(3年)だった。

「自分が真ん中入ってリズム作れればいいと思っていた。相手の選手同士の間で受けることを意識していた」という野口は相手DF間で絶妙なポジションをとって縦パスを受けると、正確なトラップから前を向いて柏U-18を押し込む原動力になった。そして前半9分にPAのFW松木駿之介にスルーパスを通すと、19分には左サイドから放った右足FKがファーサイドのポストを直撃。さらに37分には右サイドを抜け出したFW木戸隆生の折り返しから決定的な右足シュートを放った。

 このビッグチャンスで決められず、「自分の中で、真ん中の選手は点も取れて、アシストもできる選手。自分が決めていれば勝てた試合。そこは申し訳なかったです。サッカー選手やっている以上結果出さないと意味ない」と唇を噛んだ野口だったが、起点なる動きと決定機に絡む動きに加えて、持ち味のドリブルでの仕掛けでも攻撃のポイントとなっていた。

 そして、この試合でもうひとつ利いていたのが守備だ。これまで得意としていた訳ではないが、判断良く相手にプレッシャーをかけてインターセプトするシーンもあった。試合を通して運動量多く、柏の縦パス封じに貢献。黒田剛監督も「フルで使ったのは初めてじゃない?というくらい最後まで走っていた。きょうはやれるというか、いつも『やれっ』て言っているんだけど(微笑)。ちょっと性格的にムラがある。でも、実は走らせたら一番走る」という技巧派MFがトップ下の位置で攻守に奮闘していた。

 野口は守備意識、運動量の向上について「みんな言われていることなんですけど、『日本一を獲るためには一人ひとりの守備力が今のままじゃダメ』ということで、一人ひとりの守備力を上げるということを言われている。自分はそんなに守備をやるっていう選手ではなかったけれど、今後サッカーをやって行く上でも守備をやらないと上には行けないと自分では分かっているし、『やんなきゃ終わるぞ』といつも言われている」。選手権で日本一を獲るために意識している部分が、この日プレミアリーグEAST王者の柏U-18相手に発揮された。

 1か月後に迫っている全国高校選手権での目標は日本一だ。ただ簡単になることができないことを野口本人は理解している。「インハイでベスト4、3位に入ったというのは大きいんですけど、準決勝でヒガシ(東福岡高)に負けて、自分も福岡出身で悔しいし、情けないというのがあった。あと一歩のところだったけれど、日本一というのは簡単にはなれないと実感した」。無念を糧に、目標の日本一になるために決意した変化。それを勝つための武器にして、全国大会へ挑む

(取材・文 吉田太郎)
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