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[大学選手権]「朝練のピッチと同じ」、岩教大が“悪条件”にも屈せず初戦突破

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[12.11 全日本大学選手権1回戦 愛知学院大1-3岩教大 BMWス]

 強い風雨のなかで行われた一戦。スリッピーなピッチへ足を取られ、苦戦する選手が多かったが、北海道教育大学岩見沢校(以下、岩教大)の選手たちは動揺することなく、90分間を戦い続けた。苛立ちをみせる相手選手を尻目に、淡々とプレーすると3-1の勝利を手にした。

 試合後、岩教大の越山賢一監督は「雨の影響でボールがおかしな方向に跳ねていた。それを見て、『いつもの朝練のピッチと同じだな』とベンチでは話していたんです」と笑った。岩教大が早朝6時に行う朝練習では、人工芝のピッチに氷が張っており、ボールは不規則に跳ねるのだという。この日、大雨だったBMWスタジアム平塚のピッチは、岩教大のピッチにそっくりだったのだ。

 加えて大会前には、雪の影響から約2週間に渡って、室内で練習をせざるを得ない状況だった。土日に試合をすることはあっても、多くの時間を外のピッチではなく、体育館で過ごしてきた。そのような状況が“日常”である選手たちには、この日の風雨など、気にするまでもなかったようだ。

 また岩教大にとって、大会直前の順天堂大(関東3)との練習試合がひとつのターニングポイントになったのだという。室内練習しかしていないままに上京し、迎えた順天堂大との練習試合。結果は2-4の敗戦だったが、この負けがチームを一段とレベルアップさせた。

 指揮官が「結果より内容が勉強になった。ボールを持たせてもらえずに、カルチャーショックを受けるくらいのプレッシャーを受けた。とにかく厳しいゲームだった」と振り返れば、10番のFW伊藤巧貴(4年=札幌西高)は「あの試合を経験したことで大きく変わった。あれがあったから、みんなで話し合いもしたし、今日はプレッシャーが軽く感じるほどだった」と話す。

 練習試合で“カルチャーショック”を受けた影響もあり、愛知学院大戦では「相手は東海の2位だし、自分たちはプレーオフからきているから。正直自信はなかった」と伊藤は言う。それでも、大会直前に身体で感じた関東第3代表の強さ。この経験によって、岩教大は「身体も心も出来上がって、余裕を持って大会へ入れた」と越山監督は分析。その結果、3-1での勝利を手に入れた。

 指揮官は自チームについて、「練習で経験したことを試合で生かすことができる賢い子たちなんです」と言い、「もちろんまだまだ成長中のチーム」と胸を張った。次の相手は関東第4代表の早稲田大。北の大地から4年ぶりにインカレの舞台へ立った岩教大が全国2勝目を狙う。

(取材・文 片岡涼)

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