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[大学選手権]仙台大が常葉大浜松との打ち合いを制し3年ぶり初戦突破

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[12.11 大学選手権1回戦 仙台大 3-2 常葉大浜松 江戸川陸]

 第63回全日本大学サッカー選手権大会の1回戦は11日に江戸川区陸上競技場で1回戦を行い、仙台大(東北)が3-2で常葉大浜松キャンパス(東海3)を下し、2回戦進出を決めた。

 開始13分に仙台大は中盤での競り合いから左サイドにボールを繋ぐと、フリーでFW宮澤弘(1年=柏U-18)が反応。ドリブルからゴール前に通したパスを中央のFW齋藤恵太(4年=聖和学園高)が右に流し、駆け上がったDF川上盛司(1年=鹿島ユース)がPA右からシュートを狙った。ボールはGKの正面に終わったが、こぼれ球をMF蓮沼翔太(3年=柏U-18)がしっかり押し込んで、幸先良く試合を動かした。だが、19分には常葉大浜松DF濱一誠(3年=藤枝明誠高)にクロスを許すと、ゴール前で合わせたFW遠藤維也(3年=清水商高)のヘディングシュートがネットに突き刺さり、すぐさま同点に追いつかれてしまう。

 あっと言う間に消えたリードだったが、仙台大の選手たちに戸惑いはなく、22分に自陣でFKを奪うと素早く前線に長いパスを展開。一度はDFに弾かれたものの、MF熊谷達也(4年=柏U-18)が高い位置で拾い、左のスペースにスルーパスを入れた。これに反応したのはDF中山和弥(4年=札幌U-18)。PAの左端からゴール前にクロスを入れるとDF中條渡(4年=東北高)が頭で押し込んで再リードに成功した。

 だが、ここから強まる雨足と共に増した常葉大浜松のパワープレーに苦しむことになった。「スカウティングしている時は、ああやってゴールに向かってくるボールを蹴っていなかったので、最初は面を食らった。ボールも良いボールだったのでどうしようかとベンチで話をしていた」と吉井秀邦監督が振り返ったように強く正確なMF浜田康寿(4年=中京大中京高)の左足クロスが猛威を振う。30分にはPA左外から浜田の強烈な直接FKを受けると、46分には右CKを献上。浜田のキックをゴール前で混戦となり、こぼれ球をMF前田陽平(4年=清水ユース)にオーバーヘッドで押し込まれてしまった。

 ロングフィードを苦し紛れにピッチ外にはじき返しても、浜松大は強肩を持つDF窪田達哉(4年=東海大翔洋高)のロングスローも備える。後半に入ってからも、迫力のある攻撃に仙台大は苦しめられたが、「時間の経過と共に慣れてきた」(吉井監督)と落ち着いた対応で跳ね返し続けた。加えて、「児玉(昇)が落ち着いて、プレー出来るようになって、自分たちのサッカーが戻ってきた」(斎藤)とボランチを起点にショートパスの連続で攻撃に転じる機会も増加した。後半14分には右サイドで児玉が胸トラップから相手をかわして、熊谷にパス。PA右外から直接シュートを狙ったが、GK長谷川和(4年=磐田北高)の好セーブでCKに終わった。18分にも児玉のスルーパスから、川上がゴール前にクロスを展開。中央で熊谷が合わせたが、ゴールのわずかに捉える事が出来ない。

 チャンスを作りながらも活かせない時間が続く中、試合が動いたのは33分。DF山田満夫(2年=帯広北高)の縦パスから右サイドをFW川島章示(2年=柏U-18)が抜け出し、角度のない位置から低いクロスを展開。途中出場のMF秋葉侑思(4年=山形ユース)が右足で合わせて、3点目を獲得した。「今日は持ち味が出せなかった」(吉井監督)ものの、要所で勝負強さを発揮した仙台大が白星を手にし、2回戦に駒を進めることになった。

 サッカーを行う際にピッチに伝わる振動を電力に変える実験を行うなど研究者としての顔も持つ吉井監督が指揮官に就任したのは2010年。幸先良く、総理大臣杯でベスト4まで進出し、翌2011年のインカレで高知大に勝利したが、以降2年間は全国大会での白星から遠ざかっていた。今年は横浜FCや神戸でデータスタッフを務めた森本美行氏の協力をお願いし、情報で選手を後押しした他、Jでの指導経験も持つフィジカルコーチもチームに加わった。万全のサポート体制で掴んだ3年ぶりの白星に、「4年生たちは今年、本当に苦労したけど、最後でよくまとまってきた。昨日も『試合では何も出来ることは出来ないけど、勝たせてあげたいという気持ちは持っている』と声をかけた。本当に久々の勝利で本当に嬉しい」と吉井監督は破顔した。

(取材・文 森田将義)

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