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[大学選手権]流経大が「異様なハーフタイム」から後半に加速、九産大を撃破

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[12.11 大学選手権1回戦 流通経済大2-0九州産業大 ゼットエー]

 第63回全日本大学サッカー選手権大会の2回戦は11日に関東各地で1回戦を行い、千葉県のゼットエーオリプリスタジアムの第1試合では、夏の総理大臣杯を優勝して出場権を獲得した流通経済大(総理大臣杯優勝)が2-0で九州産業大(九州3)を下して2回戦進出を決めた。2回戦では東海学園大(東海1)と対戦する。

 流経大は関東リーグでは8位と苦しんだが、総理大臣杯を2連覇するなど、近年はトーナメント戦で強さを発揮している。この日も雨と風に見舞われた難しいピッチコンディションの中、絶妙な戦い方を見せた。序盤はサイドから攻撃を仕掛け、CKを多く獲得。セットプレーで九産大のゴールを脅かした。前半11分に右CKから左DF鈴木翔登(4年=流通経済大柏高)がヘディングシュート。前半15分にも右CKからCB真辺博也(3年=明徳義塾高)が同じくヘディングでゴールを狙った。

 対する九産大は細かいショートパスをつなぎながら前進していくが、敵陣に入ると相手のプレスに捕まる場面が多かった。それでも前半26分には右サイドを破り、FW無津呂武瑠(2年=東福岡高)のクロスを佐保昂兵衛が頭で合わせたが、GKに防がれた。試合は流経大のペースで進んだが、九産大は粘った。前半31分、流経大は左から鈴木がクロスを送り、FWジャーメイン良(1年=流通経済大付柏高)が飛び込んだが、九産大のCB三浦誠史(4年=大分高)がコースに飛び込み、間一髪で軌道を変えて被弾を免れた。前半34分にも流経大MF中村慶太(3年=流通経済大柏高)のドリブルシュートを再び三浦がブロック。前半36分、MF森永卓(1年=流通経済大柏高)が粘ってつないだボールを受けたMF古波津辰希(3年=流通経済大柏高)がターンで相手をかわし、左へ展開。FWジャーメインのクロスにボランチの塚川孝頼(2年=広島観音高)が飛び込んだ場面は際どかったが、それでも前半は得点が生まれなかった。

 流経大にとっては、攻めきれない嫌な流れだった。中野雄二監督は「重苦しい展開だった。前半に決めておけばもう少し楽。サイドの仕掛け方が悪かった。トーナメントでは、攻めていて点が取れないと、セットプレーなどで先に点を取られて、浮き足立って時間とともに焦りが出て敗れる。その点では選手が落ち着いてやってくれた」と振り返ったが、中村だけには、ロッカールームに引き揚げることなくピッチを走らせるという罰を与えた。期待の裏返しだが、ハーフタイムに1人だけ黙々とピッチを走る光景は、異様だった。

 後半に入ると「前半はドリブル突破、ゴールに向かう姿勢が出せなかった。あんなプレーをしていたら起用されないし、来年のユニバーシアード代表も入れない」と吹っ切れた中村のドリブル突破がチームの攻撃を加速させた。中盤で古波津がボールを回収し、森永が連動性を高め、中村の仕掛けからゴールを狙うサイクルが明確になった。後半24分、サイド攻撃を相手に意識させたところでCB田上大地から縦パスを受けたジャーメインがフリックで縦につなぎ、森永が左足でシュート。クロスバーの跳ね返りをジャーメインが押し込んで先制した。さらに後半33分、今度は右サイドを突破。右DF湯澤聖人(3年=流通経済大柏高)のピンポイントのクロスをジャーメインが頭で合わせて追加点を奪った。

 九産大は後半39分に左CKを三浦がヘディングシュート。後半42分にはDF奥津大和(1年=鹿島学園高)、FW加倉広海(4年=高稜高)とつないでMF田中達也(4年東福岡高=)がダイレクトシュートと最後まで奮闘したが、及ばず。試合は2-0で流経大が勝利した。広島入団内定のDF川崎裕大、攻撃の主軸であるMF江坂任が不在でも十分な戦力がそろっていることを証明した流経大が、夏・冬のトーナメント2冠に向けてじわりと一歩を踏み出した。

(取材・文 平野貴也)

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