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[MOM319]流通経済大FWジャーメイン良(1年)_得点力向上で輝きを放つ大物ルーキー

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.11 大学選手権1回戦 流通経済大2-0九州産業大 ゼットエー]

 流通経済大は、前線の1年生コンビが強烈な輝きを放った。第63回全日本大学サッカー選手権(インカレ)の1回戦、九州産業大を破った試合で2点をたたき出したのは、1年生ルーキーのジャーメイン良(1年=流通経済大柏高)だった。

 トップ下に入った小柄なMF森永卓とは付属高からのチームメートで、「あうんの呼吸を持っている」(中野雄二監督)コンビだ。ジャーメインのポストプレーを森永がサポートしてサイドへ展開するパターン、森永が縦パスを受けて起点となり、ジャーメインが相手DFラインの裏へ抜け出していくパターンは、お手の物。序盤から1年生コンビが相手の守備をかき回し、チャンスを作り出した。そして後半は2人の連係からゴールが生まれた。

 後半24分、DF田上大地(3年=流通経済大柏高)からの縦パスを受けたジャーメインがフリックを仕掛け、抜け出した森永が左足でシュート。クロスバーに跳ね返ったボールを「味方がシュートを打ったときは、セカンドボールを必ず狙っている。反応するだけ」というジャーメインが素早く押し込んで先制点を挙げた。さらに後半33分には右MF森保圭悟(3年=広島ユース)からオーバーラップしたDF湯澤聖人(3年=流通経済大柏高)につないでクロス。ゴール前で待ち受けたジャーメインが倒れ込みながらヘディングシュートを決めて2点目を奪った。

 元々、ジャーメインはスピードを生かしたプレーが得意だ。相手DFラインの裏への抜け出し、足下にボールを受けてからのドリブルは高校時代から定評があった。だが、一方で絶対的エースとは言い難いところがあった。一つの大きな課題は、得点を奪いきれない試合が少なくないことだった。しかし、大学1年目の夏を越え、ジャーメインは確かな手ごたえを得ている。「夏の総理大臣杯でも起用してもらったけど、1点も取れなかった。今までは、あまり考えずに能力だけでやっていたような感じだった。あのときよりは、ボールが来る前の動きで相手が嫌がるような工夫ができるようになった。DFの視野から消える動きを入れるとか、ちょっとした動きを入れることで少しずつ点が取れるようになって来た。今日の2点目もニアに入る動きを入れたら相手が付いて行ってしまったので、相手の背後でしっかりとボールの軌道を見てシュートを打てた。クロスが完ぺきだったので、当てるだけだった」とフィニッシュの精度を高める動きに自信を見せた。

 流経大が初のインカレ優勝を果たし、夏・冬のトーナメント2冠に輝くためには、下級生の突き上げが欠かせない。自信をつかみつつあるジャーメインは「夏の総理大臣杯は得点が取れず、みんなに(上に)連れて行ってもらう形になってしまった。でも、今は、自分が4年生を決勝戦に連れていくという気持ちでやっている」と言い切った。フィジカルコンディションは現状で7~8割というから、今後の躍進も期待できる。期待の大物ルーキーは「体のキレは、これからまだ上がって来る。ボールを追う動きも、抜け出す動きももう少し良くなっていくと思う。この大会は、4年生にとって最後の試合なので、4年生が笑って卒業するということだけを考えている。ゴールを決めることがチームへの貢献になる」とゴールを奪い続ける意気込みを力強く語った。

(取材・文 平野貴也)

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