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加入半年で山形の支柱となったGK山岸「来季は何も決まっていません」

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[12.13 天皇杯決勝 G大阪3-1山形 日産ス]

 J1昇格プレーオフを勝ち抜き、2014年終盤の日本サッカー界を大いに盛り上げたモンテディオ山形。13日にはJリーグ、ナビスコ杯を制したガンバ大阪と天皇杯決勝で対戦したが、1-3で敗れた。

 6月に浦和から期限付き移籍で加入し、キャプテンとしてチームをまとめ挙げたGK山岸範宏は、「前半4分ですね。最初に打たれたシュートが失点に結びついてしまった。ということは、ゲームの入り方がチームとして、まだまだ甘いというのが一つです」と試合を振り返る。

「決して崩された失点ではなく、相手のロングボールからパトリック選手に競られて、そのこぼれ球を宇佐美選手がほぼフリーの状態で打っていますかね。2失点目もカウンターから。個の能力にやられてしまった。ポジティブにいえば、決して崩されていない。でも、その2点が勝負を分ける2点になっているので」

 リードを2点に広げられた際に、山岸はフィールドプレーヤーたちを鼓舞していた。「失点を食らったことで、張りつめたテンションが落ちてしまうと、どうしてもファーストコントロールや最初のパスの選択肢が後ろ向きになってしまう。チャレンジのパス、チャレンジの仕掛け、チャレンジするためのコントロール、いろんな部分でプレーが前向きになった方が、相手は嫌ですから。そういう部分で気持ちを落とすな、弱気になるなと声を掛けました」と、明かす。

 J1昇格プレーオフ準決勝の磐田戦では見事なヘディングによるゴールも決め、攻守に山形のJ1昇格に貢献した山岸。プレーでも、精神面でも、チームを引っ張っているが、来シーズンについては「まだ何も決まっていません」と言う。それでも、「自分のキャリアを蘇らせてくれたクラブ」と評する山形には、この経験を単に『良い経験』で終わらせてはいけないと、語気を強めた。

「山形にとって、決勝進出はクラブ初です。でも、『決勝に初めて進出したから良かった』という空気は嫌です。決勝まで行ったら、勝たないと『良い大会だった』『良いシーズンだった』とは言えない。新たな歴史をつくる中で、『今日、準優勝したから良かったね』では絶対に終わらせたくないと思います。今後、J1の頂点か、天皇杯の頂点か、ナビスコ杯の頂点か、チームが一つになって取り組むことが大事だと思います」

 来シーズン、J1に戻る山形にとって、経験豊富な守護神を残留させることが、今オフの最優先事項だろう。

(取材・文 河合拓)

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