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[大学選手権]番狂わせ演じた仙台大、「割り切った戦い」で優勝候補・明大撃破!!

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[12.14 大学選手権2回戦 明治大0-1仙台大 味スタ西]

 第63回全日本大学サッカー選手権大会2回戦が14日に各地で行われ、味の素スタジアム西競技場では、明治大(関東2)と仙台大(東北)が対戦した。前半をスコアレスで折り返した試合は、後半19分にFW齋藤恵太(4年=聖和学園高)が決勝点を奪った仙台大が1-0の完封勝利。準々決勝に駒を進めて、16日に関西学院大と対戦する。

 仙台大の吉井秀邦監督は力の差を認めていた。相手は関東大学サッカーリーグ1部の後期を9勝2分の無敗で駆け抜け、今大会の優勝候補の一つに挙げられる明治大。だからこそ、割り切った戦い方を選択した。J3福島入りが内定している齋藤をベンチスタートさせ、まずは失点を防ぐことに重きを置いて試合に臨んだ。

「0-0もしくは0-1で前半を終えようというプランでした。明治さんとの力関係を考えたら、ウチのサッカーはやらせてもらえないだろうと。総合力でも向こうの方が上なので、勝負できるとすれば後半。そこで勝負を賭けようとしていました」

 前半は明治大が一方的に攻め込んだ。MF苅部隆太郎(4年=川崎F U-18)とMF差波優人(3年=青森山田高)のボランチコンビがパスを散らし、前線ではスピードのあるFW藤本佳希(3年=済美高)とFW小谷光毅(3年=G大阪ユース)の2トップがゴールを脅かす。

 しかし、前半12分にMF矢島倫太郎(4年=浦和ユース)がシュートを放つもGK松岡峻(4年=矢板中央高)にセーブされ、同13分のMF石原幸治(4年=市立船橋高)のシュートは相手DFのブロックに遭う。さらに同21分にはDF高橋諒(3年=国見高)のクロスから小谷がダイビングヘッドで狙うも、枠外に外れた。主導権を握りながらも、DF乾智貴(4年=桐生一高)とDF中條渡(4年=東北高)の2CBを中心とした仙台守備陣の粘り強い対応に遭って、スコアを動かせないまま前半を折り返した。

 プランどおりに試合を進めた仙台大は、後半開始と同時に動く。前半のシュートを1本に抑え込まれた攻撃陣を活性化させようと、吉井監督は「ウチのスピードスターを温存していたので、これを信じようと思いました」と期待を込めて齋藤をピッチに送り込んだ。

 これが、当たった。0-0のまま迎えた後半19分、左サイドでボールを受けたMF熊谷達也(4年=柏U-18)からMF山田満夫(1年=松本)、DF川上盛司(1年=鹿島ユース)とつながったボールが右サイドへ展開されると、MF秋葉侑思(4年=山形ユース)のラストパスを齋藤が流し込んで仙台大が先制に成功した。その後は1点を守り切ろうと、より守備に重心を置きつつも、齋藤のスピードを生かして追加点を狙いに行く。

 しかし、同点に追い付きたい明治大はMF瀬川祐輔(3年=日本大二高)、FW三苫元太(3年=福岡U-18)、MF道渕諒平(2年=仙台ユース)と次々に攻撃的なカードを切って、猛攻を仕掛けてくる。セットプレーから幾度となくシュートチャンスを作られたが、仙台大は最後の最後で相手をフリーにさせずに体を張った守備を見せ続けた。

「ずっと、『いつ追い付かれるか』という気持ちでいっぱいだった」と吉井監督は振り返ったが、選手たちは最後までゴールを守り抜き、1-0の完封勝利を収めた。「僕たちにとってみれば格上であり、目標としてきた明治さんに勝てたんです。大金星ですよ、これは」と喜びを爆発させた指揮官は、「1回戦突破が目標だったウチが、まさかここまでこれるとは思っていませんでした。選手たちが守備に徹して、本当に頑張ってくれたおかげです」と番狂わせを演じた選手たちを称賛した。

(取材・文 折戸岳彦)
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