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[MOM1236]履正社MF多田将希(3年)_“シンプルプレーの達人”へ

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.14 高円宮杯プレミアリーグ参入戦1回戦 履正社高 4-3 静岡学園高 コカ広島ス]

 履正社高の平野直樹監督が「もっともっとシンプルプレーの達人を目指してほしい」と期待するMFだ。この日、履正社の中盤の底に位置した背番号6は、読み深いディフェンスで相手の中盤との攻防戦を制し、インターセプトしたボールをダイレクトでのスルーパスに変え、またオープンスペースへのフィードで攻撃の起点にもなった。「足は遅いし、身長も高くなくて、身体も細い。ドリブルもできない。地味なので褒められる回数もあまりない」と笑うMF多田将希(3年)だが、その頭脳的な動きと左足の精度が初戦突破の原動力になっていた。

 この日は後半3分に得意の左足で直接FKも決めた。ゴール正面右寄りの位置からのFK。「GKが真ん中にいたし、壁もデカかったので壁を越えるのは無理だった。インフロントで蹴りました」という一撃は、壁の左外側を巻いて鮮やかにゴールへ吸い込まれた。大仕事もしてのけて会心の笑みを見せたMFは、「以前は一人ひとり、陣形作るのがバラバラだった。でもボクとかCBが『今行くぞ』『下がるぞ』とはっきりしている」という声でもチームの守りをよく締めていた。

「チームのバランスとって、チームがどれだけ前向きにプレーできるか。パスとかで周りにいいプレーさせてあげたい。味方に気持ち良くプレーさせてあげたい」という多田は2年生だった昨年度の全国高校選手権優秀選手に選出されている。決して派手なプレーをする選手ではないが、何気ない一本のパスがチャンスにつながり、押し込まれかけていたチームを何度も窮地から救っていた。指揮官はインターセプトからのパスや運動量の部分などをより求める。多田自身も「シンプルプレーの達人」には「まだまだですね」と語るが、1タッチ、2タッチのパスなどよりシンプルな動きでチームのバランスを取って、チームがやりやすいようなプレーを極めようとしている。 

 15日にプレミアリーグ参入を懸けて対戦する前橋育英高にはU-19日本代表のボランチ、MF鈴木徳真がいる。世代を代表するMFとの対戦について、「スタイルも似ていると思う。どんなもんか楽しみです」と多田。注目MF相手にも自身のシンプル且つ周囲を活かすプレーを発揮してチームを勝利へと導く。

(取材・文 吉田太郎)
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