beacon

[プレミアリーグ参入戦]「献身」でまとまった大分U-18が3発勝利、大興奮のプレミア初昇格!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.15 プレミアリーグ参入戦2回戦 米子北高 1-3 大分U-18 広島一球]

 15日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プレミアリーグ参入戦2回戦が行われ、プリンスリーグ九州優勝の大分トリニータU-18(大分)がU-19日本代表MF坂井大将(3年)の2ゴールとCB佐藤昂洋主将(3年)のゴールによって米子北高(中国2、鳥取)に3-1で勝利。初のプレミアリーグ昇格を決めた。

 昇格を決めた大分の興奮の度合いは、過去参入戦を突破したどのチームよりも凄まじかった。昇格記念のボードを何度も、何度も掲げると、肩を組んで歌声を広島の空へ響かせる。サポーターから渡された「本日の主役」のタスキをチームメートに促されてかけた佐藤主将、そして坂井とMF姫野宥弥(3年)のトップ昇格トリオをはじめ、この試合がユースチームでのラストゲームとなった3年生、また普段から元気のいいという2年生や控えの1年生たちも笑顔、笑顔、笑顔。就任2年目でプレミアリーグへ導いた山崎哲也監督を胴上げすると、「本日の主役」のタスキを強引に山崎監督にかけてまた笑顔を弾けさせていた。

 指揮官は止まらない雄叫びを上げる選手たちに微笑みながら「去年(参入戦で敗退して)悔しい思いをしているので。今年のクラブユースも、Jユースも自分たちが設定した目標設定にあと一歩のところで到達できなかった。何としても昇格だけはしようということでみんなの気持ちが入って、この騒ぎだと思う」。個々のスキルの高さに加えてハイレベルのポゼッションなど技術の高さ光る大分だが、山崎監督の下で取り組んできたテーマは「献身」。「試合中に走る質だったり、献身的にというところをテーマに上げていた。だから人のカバーをやるとかみんながチームのために走っている。だからチームもまとまったのかなと思う」と語った坂井は、「全体的にうるさいやつばかり。みんなが同じ方向向いているし、今年のチームは。だから、みんなでああやって喜べると思う。チームのまとまりを表現できたのかなと思います」と「献身」が生んだチームのまとまりの良さを強調していた。

 大分は理想に近い試合内容で堅守・米子北を破った。序盤からボールを支配して攻める大分に対し、米子北はロングボールを初戦ハットトリックのエースFW定本佳樹(3年)やFW谷口喬亮(2年)に当てて攻め返す。24分には右CKをCB嶋田遼允(2年)が頭で合わせて大分ゴールを脅かした。一方、大分はサイドまでボールを運ぶと、果敢な仕掛けを連発していた左MF宮地裕二郎(2年)や山崎誠也、甲斐慎也(ともに3年)の両SBがクロスまで持ち込み、CKを獲得していたが、サポートの少なかった注目MF坂井がなかなかボールに絡むことができず。シュートまで持ち込むことができていなかった。

 それでも前半29分、大分がエースのファインショットによって先制点を挙げる。相手のクリアボールを拾った右MF鷺原拓也(2年)が前線の坂井へ当てると、坂井がDFと競りながらコントロールしてターン。そして弾んだボールを右足ボレーで叩くと、豪快な一撃が逆サイドのゴールネットへ突き刺さった。今夏、W杯ブラジル大会に出場した日本代表のサポートメンバーを務めた坂井の鮮やかな一撃。これでリードを奪った大分はさらに33分、姫野の左CKから追加点を奪う。中央へ放り込まれたボールは米子北DFが触ったもののクリアが小さく、ファーサイドの佐藤がコントロールから右足シュートを叩き込んだ。

 そして41分、大分は鷺原からのパスをFW岩田智輝(2年)がスルー。CBの背後でコントロールした坂井が狙いすました右足シュートをゴール左隅へ沈めて3-0と突き放した。前半のシュート数は4-2。少ないチャンスを確実に決めた大分が、3点のアドバンテージを持って前半を終えた。それでも、後半開始からの11分間で3人を入れ替えた米子北が反撃に出る。14分に定本が振り向きざまに左足ロングシュートを放つと、17分には定本のヒールパスからMF松本浩輝(3年)がシュートへ持ち込み、19分には山崎の落としから定本が左足シュート。だが、シュート精度を欠いた米子北は21分にもMF勝田玲央(3年)のスルーパスで左サイドを抜け出した定本が決定的な左足シュートを放ったが、飛び出したGK竹中健悟(3年)に精度を狂わされたか、そのシュートもゴール右へ外れてしまった。

 1点を奪い返していれば、米子北にも十分に可能性が広がる展開。対して押し込まれる時間帯が続いた大分だったが、トップチームの一員としてJ2で10試合の先発フル出場を経験しているMF岩武克弥(3年)やチームにとって欠かせない存在となっていた姫野が支え、前半から出足のいい守備を見せていた佐藤、吉平駿(2年)のCBコンビも無失点のまま試合を進めて行く。佐藤が「今年のチームは監督も言っていましたけれど、『ブレない』というのがある。そういった(苦しい)時間帯でも自分たちの時間帯でも自分たちのサッカーができるというのが自分たちの強みだったので、それが出たのは良かったと思います」と振り返ったように、追加点を奪うチャンスこそを活かせなかったものの、個々の献身的な動きによって米子北に追撃を許さない。米子北は後半アディショナルタイムに定本がスーパーミドルを叩き込んで意地を見せたが、1-3で試合終了。大分が初のプレミアリーグ参入を決めた。

 大分は今年、全国舞台でチーム力を高く評価されながらも1点に泣き、日本クラブユース選手権16強、Jユースカップは8強で敗退していた。それでも3年生にとって最後の大会である参入戦で2連勝。姫野は「もっと上に行けるチームだったと思う。でも、最後に一番の目標であるプレミア昇格を達成できたので良かったと思います」と最後で成し遂げたノルマ達成に笑顔だった。佐藤は来年、高校年代最高峰のリーグ戦を戦う後輩たちへ向けて「やるからには絶対にトップ。チャンピオンシップに出てもらいたいですね」と高い要求。山崎監督は「上のカテゴリーで戦えるので、しっかり準備して、しっかりトリニータというところと九州のプライドをもって臨みたい」と誓っていた。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
2014プレミアリーグ

TOP