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[MOM1247]F東京U-18DF大西拓真(3年)_プレミア昇格の原動力となった精神的支柱

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.15 プレミアリーグ参入戦2回戦 清水桜が丘高 0-2 FC東京U-18 広島一球]

 今年、日本クラブユース選手権準優勝をはじめ、開催中のJユースカップで4強進出。また、プリンスリーグ関東準優勝、天皇杯予選でも早稲田大、国士舘大を撃破するなどFC東京U-18は各大会で好成績を残してきた。その強豪にとっても、今回の参入戦2試合は佐藤一樹監督が「独特なんで、力出し切れたかと言ったらこの2試合出し切れていない」と口にしたほど特別で、難しい戦い。その厳しい2試合を乗り越える大きな力となったが、DF大西拓真主将(3年)の存在だった。

「(MOMは)やっぱり大西ですかね。多少やんちゃなところがきょうもありましたけれど。ロッカールームから含めて、試合中も含めて、厳しい言葉を投げかけられるウチの唯一の存在なので。プレーの面では本来のパフォーマンスではなかったと思うんですけれど。そういった意味でも彼が締めてくれるというのがある。後輩には睨みきかせて(微笑)。上手くコントロールしながら彼も成長してきた」と佐藤監督は目を細めていた。相手の統率のとれた守備に苦しんだ徳島市立との1回戦では0-0の後半、自ら勝負を決めに行くような姿勢で左サイドを何度も駆け上がり、チームに活を入れた。佐藤監督が「(思いを)表現できる彼の強さ」と認めるキャプテンシーでチームを引っ張るDFはこの日もチームを精神面、プレー面でけん引した。

 厳しい初戦を乗り越えたチームを引き締め、球際の強さや相手の動きを見て戦うをことを徹底させた。そして自らは「試合の入りから点取れる気がしていた。仲間を信じていたので自分のやるべきことをやろうと思った」と清水桜が丘高のダイナミックな攻撃に対応。前線に入ってくるボールを跳ね返し、1対1で飛び込んでくる相手は身体を張ってブロックした。「そこは絶対に潰さなければいけないと思っていた。完ぺきではないけれどきょうはできた方かなと思います」というDFは攻撃面でもポゼッションに関わりながら、機を逃さずにオーバーラップ。チームの攻撃に厚みを加えていた。

 そして勝ち取ったプレミアリーグ参入の権利。「きのう、ちょっと硬さがあって参入戦は甘くないと分かったのでしっかりと自分たちのやるべきことができた。(F東京U-18は)プリンスにいるべきではないと思っていた。ここがスタートだと思うので東京の力を見せつけられればいい。頑張ってほしいです」と来年、高校年代最高峰のリーグ戦に挑戦する後輩たちに期待を寄せた。

 プレミアリーグ参入の目標は達成。ここからはもうひとつの目標であるJユースカップ優勝に集中するが、同時にやらなければならないことがある。それは来年のリーダー育成。寮で同部屋だというDF渡辺拓也らを精神面でもチームを引っ張る存在にするつもりでいる。「(渡辺は)チーム引っ張っていける力はある。大丈夫だと思います。ボクがこれからしっかりと引き継いでいく」と微笑んだ。F東京U-18の一員として戦う公式戦はもう、Jユースカップだけ。公式戦へ向けた準備をする機会もあとわずかだ。「(プレミアリーグ昇格の喜びから)しっかりと切り替えてJユースに向けて緊張感持って練習からやっていかないといけない」。主将が厳しい目と声でチームを目標達成へと導く。

(取材・文 吉田太郎)
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