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クロアチア戦前日 ミゲル・ロドリゴ監督コメント

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 フットサル日本代表は18日、クロアチア代表と親善試合を行う。前日の練習を終えた日本代表のミゲル・ロドリゴ監督は、「攻撃もですが、特に守備において最高レベルのプレーをしないと、厳しい相手になると覚悟しています」と、クロアチアを警戒しつつ、「フットサル日本代表の名前を(世界に)轟かせるという意味でも、クロアチアに勝つことは大きなポイント」と、野心を示した。

以下、試合前日のミゲル・ロドリゴ監督コメント

――クロアチアについて?
「タレントを持って欧州のトップチームで活躍している選手がそろっています。ただ、唯一、8番のマリノビッチ選手が来日していませんが、それ以外はベストに近いメンバーです。私たちとしては攻撃もですが、特に守備において最高レベルのプレーをしないと、厳しい相手になると覚悟しています」

――クロアチアの分析をしたとのことですが、どの映像を見たのですか?
「今年の欧州選手権のスペイン、チェコ、イタリアとの3試合を見ました。選手たちにも伝えたし、彼らも感じ取ってくれたのは、タレント豊かな選手が集まっており、2人、3人は個の力で状況を打開してゴールに結びつける力を持っていること。ただ、個人のタレントに依存すると見せておいて、グループ戦術の基準をしっかり持った戦い方をしてくるところは、再発見できた意外性のあることだったのではないでしょうか。ラインの間を使うなど、最先端で行われているプレーをやってきます。守備もアグレッシブで、前から仕掛けてくる。最新のゾーンディフェンスで、マークの交換で対応してくるので、全体的にバランスがとれたやり方をしてきます。ただ、何点か弱みもあり、セットプレーなどに弱みがあるんじゃないかなど、こちらのつけ入る隙も読み取って、相手を分析しました」

――アジア杯連覇したチームが、国内でプレーを見せられる機会だが?
「アジア選手権の決勝でイランと戦った、あのレベルのプレーをチームのスタンダードにしようと思っていますし、そのレベルのプレーを皆さんにお見せして、世界のトップ12,13に入るチーム同士の素晴らしいゲームを見せたいと思います。願わくば、勝利を添えて、アジア選手権優勝のお祝いにしたいなと思っています。ただ、クロアチアという強豪を相手に、簡単にできるかは分かりませんが、ベストを尽くして良いフットサルができればと思います」

――日曜日の集合後、どのような活動をしていた?
「月曜は(金曜日から日曜日までリーグ戦があったため)基本的に、温泉に行っただけです。普段、クラブでも試合の翌日はオフというのがリズムになっていますので、それに限りなく近い、普段の流れを尊重して、なるべく自由にして、温泉だけ行きました」

「火曜日は確認の練習をやったのと、夕食の後にミーティングをやりました。今日、ここで話したようなことを確認しました。基本的にはアジア選手権のメンバーに、新しく数名が参加したので再集合という位置づけのチームです。今回の試合で勝利することはもちろん、アジア選手権決勝のゲームを、僕らのスタンダードにできるかを確認したいと思っています。ホームですが、状況としては難しいかもしれません。このメンバーで海外では1年間で15試合くらいプレーしていますが、国内では2試合しかできません。普通の状況でリラックスしてゲームに入れるかはチャレンジです。また、この空気感をどれだけ楽しめるか。サポーターの方々と一緒に盛り上がれるか。そういうことが、試されます。フットサル日本代表の名前を轟かせるという意味でも、クロアチアに勝つことは大きなポイントになるので、そこも今回のチャレンジに含まれます」

「そうしたチャレンジが、うまくできるんじゃないかと思っています。手の届かないところではないという感触は得られると思いますし、それが叶えば、今度はこの試合を自分たちのスタンダードにして、また次につなげられると思います。今日のトレーニングは昨日と比べて、実際のゲームに近いことを短い時間ですが、やりました。先ほど、フィジカルコンディションの話をしましたが、筋肉に負荷はかかっている状態で集合していますので、あまりここでは追い込めません。しかし、そういうコンディションのときでも、会場の雰囲気とか盛り上がりが、体の疲れを吹き飛ばし、心の力で、本来なら出せないほどのパワーを出せるような状況がつくれると思うので、そこにも期待したいと思います」

――練習をしてみて、選手たちの反応には満足できたか?
「攻撃面は、のびのびしていましたね。普通は逆なんです。DFが優位に立って、攻撃はうまくいかないことが私たちのチームでは起こりがちなのですが、2日間ゆっくり休んだので、フレッシュにやる気満々になっているところが出たのではないでしょうか。あとは、だいぶ速かったですね。ボールも滑りますし、攻撃に優位かなと思います。仁部屋、小曽戸、吉川、加藤といった選手は、明日、良い状態でゲームに向かうことができれば、彼らのプレースタイルは、光ることになると思います。1対1がポイントになると思いますし、攻撃がすごくのびのびとできて、開放感のある動きができていたと思います。明日は、高いモチベーションで臨んでくれると期待しています」

――多くの選手が週末に2試合をこなした中、森岡選手は週末1試合のみの出場です。また、浦安と神戸の選手は日曜に試合がなく、1日休みが多かったのですが、彼らを長く使うようなプランはありますか?
「全員に出てもらうことをベースに、試合に臨まないといけないと思っています。今日も3セット構成でやりましたが、何となく自分の中では、ああいう組み方なのかなというのがあります。得点の進み方にもよりますが、前半を8人くらいで回して、後半は得点、疲労感を見て、選手を起用していこうと思っています。もし、明日、それでうまくいって、最後に勝利がつかめた状況になれば、ベンチメンバーを含め、全員が戦力になる証明になると思います」

――これまでパワープレーに入っていなかった渡邉選手が、今日は入っていました。これは、チーム戦術が全体に浸透してきたということ?
「渡邉については、非常に多機能を備えた選手だと思っています。アジア選手権の決勝のイラン戦でも、森岡の位置に入って同点ゴールを決めました。今回は、皆本晃のコンディションもあります。腿の筋肉の状態があまり良くないこともあり、少しそれに対応して、配置を変えています」

――相手の守り方によって、吉川選手、星選手を変えていた?
「そうですね。想定しています。ただ、明日はパワープレーを使わないで済むことを祈っています。このメンバーでゲームに臨むのは、アジア選手権以来になります。ですから、(やり方を)思い出す作業として、今日はパワープレーをやりましたが、もう少し長いキャンプを張れていれば、試合直前にパワープレーの練習はしません。メンタル的にはパワープレーはやりたくないというか、やらないですね。『明日の試合に向けて、パワープレーが必要だ』というメッセージになることもあるので、なるべくなら試合の直前にはやりたくないです。明日、もし使わなければいけない状況になったとしたら、自分の中では、相当怒りを向けている状況でやっていることになります」

――普通は負けている状況でやるパワープレーですが、明日、同点の場合は?
「勝ちに行きます。そこは勇気と相手へのリスペクトを示すことにもなると思いますし、自分たちも野心を持って、チャンピオンになっているけど、もっと上を目指そうとしていることを示すためにも、確実に引き分けに甘んじず勝ちに行く姿勢を示したいと思います。W杯のときも、勇気を持ってポルトガル戦でパワープレーを仕掛け、5-5の同点に追い付いても、その後も仕掛けました。そういう精神が私たちには重要です。なので、その勝者のメンタリティを引き続き持つためにも、そういう状況がくれば、勝つために使うかもしれません。勝つんだというマインドは、戦術よりも大事なことです」

――GK関口に先発を告げていたが?
「はい。GKに関しては、今回に限らず、それぞれの夜の迎え方があると思うので、マインドをセットして(試合に)入れると思うので、伝えました。彼にとっては、国内でのデビュー戦になりますが、リラックスして臨んでほしいと思います。フットサルのサポーターに、遠征に行っている代表のGKだと分かってもらえればいいですし、みんなの期待に応えてほしいです。僕らの感覚にはちょっとないくらい、普通は緊張してしまうところでも、のびのびと楽しめるメンタリティを持っているので、明日も期待したいと思います」

(取材・文 河合拓)

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