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[MOM335]流通経済大FW江坂任(4年)_大会直前で負傷も…4年生FWが意地の決勝弾

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.21 大学選手権決勝 流経大1-0関学大 味フィ西]

 痛みに耐えながら奪った値千金の決勝弾だ。流通経済大FW江坂任(4年=神戸弘陵高)が0-0で迎えた後半43分、PA手前右から自ら持ち込むと左足を一閃。強烈な一撃を決めると、このゴールが決勝点となり、流通経済大は初の日本一へ輝いた。

 試合後、江坂は「得意とする形。股が開いたのが見えたので思い切り振り抜きました」と得点シーンを振り返り、「あの距離ならいける自信はありました」と笑顔をみせた。

 準決勝・びわこ成蹊スポーツ大戦(4-0)でも2得点の活躍をみせた江坂。出場した2回戦からの4試合で5得点を挙げ、大会得点王となった。しかし、コンディションは万全だったわけではない。今大会初戦を1週間後に控えた12月4日、水戸ホーリーホックとの練習試合で右足第五中足骨付近を負傷。当時は「腫れ具合をみると折れているくらいだった。歩くのも痛くて、とてもサッカーをできる状態じゃなかった」という。

 それでも、大会期間中に復帰するべく、必死にリハビリへ取り組んだ。毎日のように茨城から東京へ通い、高圧酸素治療を受けると、2回戦・東海学園大戦前日の13日にチーム練習へ合流。痛み止めを飲みながらもピッチへ戻った。

 しかし、復帰戦となった東海学園大戦。前日にチーム練習へ合流したばかりということもあり、「シュートの感覚がずれて、全然シュートを決められなかった」。9本のシュートを放ちながらも1点に終わり、「チームへ迷惑をかけた」と肩を落とす結果になってしまったのだ。

 それでも、チーム最多となる9本ものシュートを放った江坂をみて、中野雄二監督は「それだけシュートを打ったら、準決勝では爆発するだろう」と予測。続いて迎えた準々決勝の大阪体育大戦(1-1PK5-3)では、途中出場ながら同点弾を挙げた江坂は、中1日で迎えた準決勝・びわこ大戦で再び先発すると、2得点の活躍。指揮官は「準決勝では思い通りに2点を取ってくれました」と振り返る。

 そして迎えた決勝戦。中野監督はFWジャーメイン良(1年=流通経済大柏高)と江坂のどちらを先発起用するか悩んだというが、準決勝での「流れを大切にしよう」と江坂を抜擢。すると起用に応えた江坂は決勝点の活躍をみせた。日本一へ導くゴールを決めたFWを中野監督は「チーム内で一番シュートがうまいし、左右できるし、どこでも点が取れる選手」と高く評価。「最後の最後、ああいうシーンで足を振りぬけた。江坂に期待して良かった」と微笑んだ。

 夏冬制覇した流通経済大。先発した11人のうち、4年生はわずかに2人。江坂は「4年生のためにも最後には笑って終わりたかった。本当に良かったです」と笑顔をみせる。大会期間中は同部屋だったDF鈴木翔登(4年=流通経済大柏高)と「4年生の思いを汲み上げないといけない」と重ね重ね話していたという。「自分はプレーで引っ張ろうと思っていた」と話す最上級生FWが流通経済大を冬の日本一の座へ導いた。

(取材・文 片岡涼)
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