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[選手権]國學院久我山、日章学園に薄氷の勝利!!

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[1.2 全国高校選手権2回戦 國學院久我山高 1-1(PK5-4)日章学園高 駒沢]

 國學院久我山高(東京A)が後半追いついた勢いでPK戦も制し、3回戦へ駒を進めた。1月3日に駒沢で京都橘高(京都)と対戦する。日章学園高(宮崎)は昨年度のベスト8超えを狙ったが、その挑戦は2回戦で終わった。

 試合が動いたのは後半10分だった。日章学園MF藤堂貴久(3年)のロングクロスを抜群のポジショニングでトラップしたMF河野翔太(3年)が右足を一閃したファインゴール。國學院久我山にとって都大会から通じて初の失点は、重い重い相手の先制ゴールとなった。

 ここまでの動きは、お互いの形が出た上での均衡状態だったといえる。試合開始から出足の早い日章学園は、球際の激しいプレスで國學院久我山の攻撃を寸断。そして1トップで縦への力強いランニングを見せる主将FW村田航一(3年)がゴールへの予感を漂わせる。

 國學院久我山も負けてはいない。断続的ではあるものの、タッチ数の少ない素早いパス回しに両サイドが絡むとチャンスを作る。MF知久航介(1年)とMF宮原直英(2年)のWボランチにトップ下のMF鈴木遥太郎(2年)、この3人のボールのやりとりから裏のスペース、または左サイドのFW澁谷雅也(1年)、右サイドのFW飯原健斗(3年)へボールを差配しセンタリング。しかし、なかなか中央で待つFW小林和樹(2年)へ渡らない。

「いいボールが入っているし局面も作れているのに、もう少しのテクニック、スピード感が欲しかった。スカッとキチッとサッとキレのあるフィニッシュに入る前につぶされるところにもどかしさがある」と李済華・國學院久我山監督が試合後に語ったとおりの印象だ。

 見た目では日章学園やや優勢か。そういう流れが続いているに見えたが、「内容ではディフェンスで後手に回る時間が増えた。相手に方がやろうとしているサッカーができていた」とは早稲田一男・日章学園監督。「このままではやられる、という話をハーフタイムにした」ことでチームの方向性が見えたという。その結果が後半10分のゴールだった。

 國學院久我山としては今シーズン、絶対の信頼を置いていたディフェンス。守備の要、DF花房稔(3年)は「先制されて動揺を隠しきれなかった」という。だが――「負けない気持ちがゴールにつながった」。

 失点後、國學院久我山が縦への圧力を強める。日章学園は、それまでの激しいプレスから一転、ゴール前でブロックを作り跳ね返す守備になった。攻める久我山。守る日章。高い集中力を見せる日章学園DF陣相手に活路を開くきっかけになったのは、後半19分に交代出場したFW檜垣寧宏(3年)だ。

「0-0か0-1なら投入しようと。うちで危険なボールを蹴れるのは彼だけ」(李監督)という檜垣が左サイドから積極的にシュートを狙う。これまでメンバー入りに漏れていた男の意地のプレーに日章学園が徐々に圧され始める。ブロックはされるものの迷いなく左足を振り抜く姿は、たしかに脅威を与えていた。

 そして迎えた後半34分、その檜垣からのCKにゴール前へ上がっていた花房が起死回生のヘディングシュートでゴールを決めた。

「最後、シュートを打たれる時もブロックはできていた。ただサッカーでしょうがない部分でもあるが、1つ2つ穴ができる。それが失点になった」(早稲田監督)。

 結局、PK戦も全員が決めた國學院久我山が勝利。「美しく勝て」をモットーに、観る者を楽しませるサッカーは堅守の今年度のチームでも健在。しかし、失点後からみせた選手たちの闘志は、これまでになかなか見られなかったものかもしれない。PK戦前の円陣でも主将のDF内藤健太(3年)が雄叫びをあげた。

 この執念、この気迫。勝利をもたらしたのは、じつはこの試合の登録メンバー20人中8人しかいなかった3年生の気持ちだったともいえる。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 伊藤亮)
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