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[選手権]米子北に夏のリベンジ許さず、星稜が3大会連続の8強入り

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[1.3 全国高校選手権3回戦 米子北高 1-2 星稜高 駒場]

 第93回全国高校サッカー選手権の2回戦が2日に各地で行われ、浦和駒場スタジアムの第1試合で、米子北高(鳥取)と星稜高(石川)が対戦した。前半11分に星稜が先制するも、後半26分に米子東が追い付く展開に。しかし後半35分に星稜が決勝ゴールを挙げて、2-1で接戦を制した。3回戦突破を決めた星稜は、5日に行われる準々決勝で履正社高(大阪)と対戦する。

 今夏行われたインターハイ2回戦での対戦時には星稜が5-1の快勝を収めていた。試合前日には米子北の選手たちが「夏のリベンジを果たしたい」と燃えていた一戦で、序盤からリズムを作ったのは、むやみにボールを蹴り出すのではなく、最終ラインからしっかりとボールをつなぐ星稜だった。攻撃のタクトを振るうMF前川優太(3年)が左右に散らすと、ワンタッチ、ツータッチの素早いパス回しで米子北ディフェンスに揺さ振りをかけて前線へとボールを運ぶ。パス回しにアクセントを加えるのが、両サイドハーフのMF藤島樹騎也(3年)とMF阿部雅志(2年)で、鋭い突破を仕掛けて縦への推進力を生み出した。

 すると前半11分、左サイドから中央へと切れ込んだ阿部の鮮やかなスルーパスに反応した藤島が落ち着いて蹴り込み、星稜が先制に成功した。セカンドボールの回収率でも上回る星稜は、その後も主導権を握るが徐々に米子北が盛り返してくる。キャプテンのMF君垣隆義(3年)が「試合の中でボールを奪えると感じたら、前から行こうと話していました。相手が少しずつバタつき始めたので、行こうとチームメイトと話していました」と語ったように、前からの圧力を強めることで星稜に自由なパス回しを許さない。

 そして、攻撃に移れば前線に構えるFW定本佳樹(3年)を目掛けたロングボールから活路を見出そうとしたが、星稜の2CBであるDF高橋佳大(3年)とDF鈴木大誠(3年)に激しく寄せられて、定本が思ったようにボールを収めることができない。だが、なかなか攻撃の形を作れない厳しい状況の中でもチャンスを作り、前半36分にはDF鶴ヶ久保哲太(2年)の縦パスから定本が抜け出したが、シュートは鈴木のブロックに遭ってしまった。

 1-0のまま後半を迎えると、またもや星稜がゴールを脅かし始める。しかし、後半2分にDF原田亘(3年)が放った強烈なシュートはGK中原創太(3年)の好セーブに遭い、同15分にはDF宮谷大進(3年)の鋭いクロスをFW大田賢誠(3年)がヘッドで狙うも枠外に。さらに同20分には前川のスルーパスから抜け出した大田が再び狙おうとするも、中原の果敢な飛び出しに阻まれて追加点を奪うには至らなかった。

 すると、耐えしのいだ米子北が同点に追い付く。後半に入っても前線の定本を狙ったロングボールから何とかゴールに迫ろうとしていた姿勢が、実を結んだ瞬間だった。最終ラインの鶴ヶ久保から送られたフィードを、体を張り続けてきた定本がゴール前にヘッドで落とす。ボールに反応したMF小嶋海斗(2年)はシュートを打てなかったが、後方から走り込んだ君垣が流し込んで、試合を振り出しに戻した。

 同点に追い付かれた星稜だったが、ここで慌てなかった。「もう一度スタートに戻って、0-0の気持ちで戦わせることが大事だと思っていました」(木原力斗監督代行)。同点後には立て続けに米子北に好機を作られながらも粘り強い守備でゴールを守ると、後半35分に勝ち越しに成功する。左サイドから鋭く切れ込んだMF加藤諒将(3年)のグラウンダーのクロスを、大田が華麗なヒールで流し込んで2-1として再びリードに成功した。

 その後、米子北の反撃をしのいで逃げ切った星稜が、2-1の勝利を収めてベスト8進出を決めた。「すごく苦しい展開でした。米子北さんは夏とは違うチームでなかなかPA内まで入れさせてもらえなかったし、球際の部分もすごく強かった」と木原監督代行は相手チームを称賛。そして、「80分間で勝利した選手たちもよくやってくれました」と自チームの選手たちへの賛辞も忘れなかった。

 前々回大会(ベスト4)、前回大会(準優勝)に続いて、3大会連続でのベスト8進出を決めた星稜。「一昨年のチームは一昨年のチームですし、去年のチームは去年のチームで、今年のチームは違った良さがあると思います。しっかりと準備をして次の試合も勝てるようにしたいです」と木原監督代行が語ったように、今年のチームの良さを発揮して、次は3年連続での4強入りを目指す。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 折戸岳彦)
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