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[MOM1306]日大藤沢高MF今井裕太(3年)_インフルエンザから復活、即決勝弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 高校選手権準々決勝 日大藤沢2-1静岡学園 駒場]

 出番は予想よりも早く巡ってきた。日大藤沢高(神奈川)は、スコアレスで折り返した後半開始と同時に、「もう少し最後らへんに出るはずだった」というMF今井裕太(3年)の投入の投入を決断する。すると、1-1で迎えた後半38分、FW田場ディエゴのスルーパスに反応した今井が右足を振り抜く。「たぶんディエゴは見えていなかったはず」と笑ったが、「パスが出てきてもいいように走り込んでいたら、思った通りに出てきた。あとはシュートだけでした」と決勝点を喜んだ。

 初の4強に駒を進めた日大藤沢だが、もう一つの敵とも戦っている。大会直前に1人の選手がインフルエンザに感染。不運にもインフルエンザは部内に蔓延し、ここまで常に登録メンバー30人のうち7~8人を欠く状態が続いている。

 今井も高校最後の晴れ舞台を逃すところだった。選手権の開幕を翌日に控えた昨年12月29日、体調不良に見舞われ、熱を測ると「38度8分」。医師の診断は「インフルエンザ」。仲間と離れ、自宅療養を余儀なくされた。「ご飯は普通に食べれましたが、体重は少し落ちました。元日に熱は下がったので、近くの公園でが体を動かしていました」。

 迎えた3日の3回戦からようやく合流。しかし、試合前、ロッカールームで監督らが今井の異変に気づき、体温を測らせたところ、「37度8分」あることが判明。今度は扁桃炎から来る発熱で、もちろん、欠場を余儀なくされた。

 そしてようやく迎えた“初戦”。「勝ち進んでくれると思っていた」という今井の願い通り、チームメートも今井の帰る場所を用意。「勝つための仕事ができればいいなと思った」。予選でも桐光学園高の4連覇阻止に大きく貢献するゴールを決めているMFは、大一番となった復帰戦でもしっかり勝負強さを見せつけた。

 ただ本人も「得点以外は特に何も出来なかった。体が軽かった。その分、フワフワしちゃった感じ。思い通りのプレーは出来なかった」と振り返るように、まだまだ本調子には程遠い状態にある。実際、後半アディショナルタイムには勝利を決定づける3点目を奪うチャンスがあったが、ループシュートを枠右に外している。「調子に乗りました」と頭を掻いたが、今後の戦いでは、よりそういった場面の重要度も増してくるはずだ。

 次の準決勝は中4日をおくことになる。欠場者を抱える日大藤沢にとっては、朗報だ。今井もきっちりコンディションを整えて、次こそ先発出場に備えたいところ。「動きの質を上げて、監督にアピールしていきたい」。必ず遅れた分を取り返す。そして神奈川県勢初の日本一を達成する。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 児玉幸洋)
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