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[選手権]“鬼門”のPK戦で2勝!5度目の準決勝で初勝利の前橋育英が決勝進出!!

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[1.10 全国高校選手権準決勝 流通経済大柏高 1-1(PK4-5)前橋育英高 埼玉]

 0-1で迎えた終盤、追い込まれた前橋育英高の山田耕介監督は勝利への諦めない気持ちを持っていたと同時に「何がダメなんだろうと見ながら考えていた」という。98年度を皮切りに、99年度、01年度、08年度と前橋育英は過去4度の準決勝で全て敗退。5回目の挑戦となった今回も崖っぷちに追い込まれていた。それも今年は指揮官が「立ち上げからオマエらは力がないとずっと言ってきた」という世代。それでも彼らには強い反骨精神があった。そして土壇場で劣勢を乗り越える逞しさがあった。

 ポゼッションから攻めながらも1点が遠かった前橋育英は後半35分に181cmFW菊地匡亮(3円)を投入。DFを1人減らしてパワープレーに出た。なかなかチャンスは生まれなかったが、それでも後半45分、交代出場のMF小泉佳穂(3年)の左クロスのクリアボールをMF鈴木徳真主将(3年)がコントロールからの右足シュートをねじ込んで同点。「(先制されたが)特に焦っていることもなく、みんな諦めてなかったので、目が。オレも『行ける』ってずっと思っていました」という主将の一撃で同点に持ち込むと、PK戦では5人全員が決めて競り勝った。先輩たちが阻まれていた壁を突破する勝利に鈴木は「みんなで勝ち取ったので素直に嬉しいです。歴代の先輩が越えられなかった壁を自分たちが越えたのは嬉しい」と素直に喜んでいた。

 これまでも決勝へ進出するチャンスはあった。だが、そのチャンスを掴むことができていなかった。それを今回成し遂げた要因について、山田監督は「山学(山梨学院)戦でPK勝ったのが大きかったと思うんですよね。PK戦で勝てていなかったから」。前橋育英にとって選手権全国大会でのPK戦は今大会開幕前まで3連敗中。昨年は全国高校総体1回戦で米子北高(鳥取)、高円宮杯プレミアリーグ参入戦1回戦でも藤枝東高(静岡)にPK戦で敗れていた。前橋育英にとって“鬼門”とも言えるPK戦だったが、今大会3回戦で山梨学院高(山梨)に6-5で勝利。連敗をストップすると、この日は「みんな自信を持って蹴ってくれるだろう」(山田監督)という期待通りに1人目の鈴木から5人目のMF坂元達裕(3年)まで5選手がしっかりと決めて勝利を勝ち取った。

 山田監督が「嬉しかったんですけど。もう1試合」と語ったように、歴史は変えたが、チームの目標はあと1勝。CB上原大雅(3年)は「(山田監督は)喜ぶことがない。怒られることの方が断然多いです。一回くらい喜ばせたい」と優勝して恩師を笑顔にすることを誓った。

(取材・文 吉田太郎)
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