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[選手権]チームの勝利優先も…得点ランクトップタイの星稜FW大田「得点王をできれば取りたい」

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 明日12日に行われる前橋育英高(群馬)との決勝戦へ向け、11日に最終調整を行った星稜高(石川)。今大会3得点を挙げて得点ランキングトップタイのFW大田賢生(3年)は、終始、引き締まった表情で前日練習に取り組んだ。練習後には、「結果にこだわる」と初優勝が優先と強調しながらも、「得点王をできれば取りたい」と控えめに、それでもしっかりとした口調で宣言した。

 2年連続の決勝進出を果たした星稜だが、大田は昨年度の富山一高(富山)との決勝戦はスタンドで見守った。星稜は後半25分にFW森山泰希がチーム2点目を挙げ、2-0とリードして終盤へ突入。大田も「優勝するだろう」と思っていた。しかし、後半42分に1点を返されると、アディショナルタイムにも失点。同点とされると延長後半9分に逆転ゴールを許し、悔しい準優勝に終わった。先輩たちが悲しむ姿を目の当たりにした大田は、「僕たちの代で絶対優勝する」と誓い、この1年間を戦ってきた。

 河崎護監督に「運動量を多くして、結果を出せ」と言われてきた通り、大田は今季のプリンスリーグ北信越で31得点を挙げ、2位に17ゴールの大差をつけて同リーグ得点王となった。そして、臨んだ選手権県予選でも準々決勝、準決勝と得点を挙げ、チームを16年連続25回目の本大会出場に導いた。しかし、大会直前に河崎監督が交通事故に遭い、チームを離れるという事態に見舞われた。

「ビックリしましたが、それでも気持ちを切り替えてしっかり練習に取り組みました」と語る大田。チームは逆境を力に変えて、苦しみながらもトーナメントを勝ち進み、昨年度と同じ決勝の舞台へと戻ってきた。「あと1勝で全国制覇。しっかり勝って優勝したい」と意気込む大田は、「監督から教わったことはいっぱいあります。教えてもらったことをしっかり決勝で出したい。監督が来れない分、優勝を届けたいです」と指揮官への恩返しを誓った。

 チームの勝利を重要視する大田だが、自身も3試合連続ゴールで得点ランキングトップタイと、得点王を狙える位置にいる。「得点王を気にしていたら、僕はうまくいきません。チームの勝利のために決めるところは決めていきたい」と、あくまでもチームの勝利が優先と話したが、最後には3年間で一番成長したと語る得点力を示し、「得点王をできれば取りたい」と宣言した。決勝と同じ日にアジア杯の初戦を戦う、星稜の先輩であるMF本田圭佑やFW豊田陽平らも成し遂げられなかった選手権優勝。大田が自身のゴールでその壁を打ち破り、個人としてもチームとしても歴史を残す。

(取材・文 清水祐一)
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