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「第1クール」を終えたアギーレJ、3月以降は世代交代推進へ

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 UAE戦から一夜明けた24日、日本サッカー協会の大仁邦彌会長と霜田正浩技術委員長がシドニー国際空港で報道陣の取材に応じ、5大会ぶりの準々決勝敗退に終わったアジア杯を振り返るとともに、今後の方針を示した。

 相手より1日短い中2日で臨んだUAE戦は全体的に運動量、インテンシティーが上がらず、一歩一歩の出足も遅かった。大仁会長は「中2日の影響は少し出ていたかなと思う。細かい部分で鋭さ、正確さには影響があったかなと」と指摘。立ち上がりに集中を欠くなど中2日の影響は否定できなかったが、霜田委員長が「1位通過ならこういう日程になることは分かっていたし、そのつもりで準備してきた。敗因の原因には挙げたくない」と強調したとおり、日程面は言い訳にならない。

 ただ、グループリーグを含めた全4試合に同じ先発メンバーで臨んだことには疑問も残った。準々決勝進出が決まっていなかったとはいえ、引き分け以上が突破の条件だったグループリーグ最終戦のヨルダン戦でメンバーを入れ替える考えがあってもよかったし、結果論とはいえ、UAE戦で実際に選手が見せたパフォーマンスを考えると、猛暑の連戦でスタメン不動の弊害は明らかだった。

 霜田委員長によると、途中交代したFW岡崎慎司は太腿に張りを訴えていたということだが、後半20分までに早々と交代枠を使い切り、延長前半にDF長友佑都が右太腿裏を痛めても交代させることができなかった。ハビエル・アギーレ監督とは「連戦では(メンバーの)やりくりも必要だが、勝っているチームはいじらないというセオリーを踏襲してやっていこうと話していた」というが、最後は実質、10人での戦いを強いられたことは皮肉だった。

 とはいえ、霜田委員長はアギーレ監督のチームづくりを高く評価している。選手が監督の指示を待つだけでなく、ピッチ内外で自分たちで考え、判断してプレーする“応用力”が見えてきたこと。そして、決定力不足という永遠の課題を解決するために「チャンスの数を増やすこと」「確率(決定率)を上げること」をテーマに掲げる中、UAE戦では35本のシュートを打つことができたこと。「チャンスの数を増やしたことは評価できる。確率をいかに上げるかが次のステップ」と、一歩前進したと捉えている。

 霜田委員長は2018年のロシアW杯までの4年間を4つのクールに分け、今回のアジア杯までを「第1クール」としていたことも明らかにした。ブラジルW杯でも主力だったメンバーが中心となった今大会の陣容に関し、世代交代が進んでいないとの指摘には「第1クールまでは年齢に関係なく、調子の良い選手、質の高い選手を集めて、チームのベースをつくろうと話していた」と説明。結果にこだわった「勝つためのメンバー」だった。だからこそ、アジアでベスト8という結果は重くのしかかる。

 6月に始まるW杯アジア1次予選を「第2クール」、W杯アジア最終予選を「第3クール」と位置付ける霜田委員長は、指揮官の同意の下、今後は世代交代を推進していく考えを示した。「1次予選では新しい選手を発掘しながら勝ち星を拾っていく。ここからは先を見据えた選手編成をしないといけない」。1次予選前最後の国際親善試合となる3月27日のチュニジア戦(大分)、同31日のウズベキスタン戦(東京)から若手や新戦力の積極的な登用を示唆した。

(取材・文 西山紘平)

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