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「NIKE MOST WANTED」世界で勝者に近づいたFW木下が挑戦者たちにメッセージ、「自分に自信を持て」

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 世界で戦える若きフットボールプレーヤーを探す世界規模のスカウトプロジェクト「NIKE MOST WANTED」(昨年までは「NIKE CHANCE」として実施)は、2月8日にJ-GREEN堺(大阪)で最後の1次選考会となる「関西セレクション」を行う。「関西セレクション」の合格者は、すでに終了している「キックオフセレクション」「関東セレクション」の各合格者、そして日本各地を訪問するナイキスカウトの推薦を受けて参加権を得たプレーヤーとともに、2月21日に開催される「ジャパンファイナル」に参加。「ジャパンファイナル」では、イングランド代表の本拠地であるセント・ジョージズ・パークで開催される「グローバル・ファイナル」に出場する“日本代表”2名の座を懸けて、熱戦を繰り広げる。

 “日本代表”を含めて世界50か国から才能あるアスリートが一同に集まり、トライアウトを行う「グローバル・ファイナル」で勝者となったプレーヤーは、セント・ジョージズ・パークにある「ナイキアカデミー」に6か月間(予定)参加する権利を獲得。「ナイキアカデミー」では、世界トップクラスの施設で、エリートコーチ、栄養士、心理学者、フィットネストレーナーなどの指導やアドバイスを受けることができ、またプロによるスカウトの機会を得ることで、欧州でのプロ入りのチャンスを広げることができるのだ。

 かつて、日本人選手でこの「ナイキアカデミー」入りに最も近付いたのがFW木下稜介(現サバデル・ノルド)だ。12年の「グローバル・ファイナル」をアジア人で唯一突破して、当時開催されていた「グローバル・トレーニング・ツアー」に参加。約6週間、エリートトレーニングを受けながら、U-17アメリカ代表やマンチェスター・U(イングランド)などの名門クラブのアカデミー所属選手たちと実戦で戦った。最終的に勝者3名に選出されず、「ナイキアカデミー」入りを果たすことはできなかったが、非常に多くの貴重な経験を積んでいる。その木下が、世界を目指して「NIKE MOST WANTED」に挑戦する選手たちへメッセージを送った。

―「NIKE CHANCE 2012」に参加したきっかけは何だったんですか?
「最初は滝川二のときの監督に『受けてみいひんか』と言われて、何となく受けたっていう感じですね。そんなに深く考えてはいなかったですけど、面白そうだとは思いました。『海外に行きたいな』、と思ってたんで、『やるからにはやってやろう』という感じでした」

―当時は滝川二高の3年生ですよね。チームではレギュラーだった?
「いや、微妙な感じでしたね。ポジションはFWで、出たり出なかったりという状況でした」

―それまで、こういったセレクションに参加したことはあった?
「ほとんどないですね。小学校の時にヴィッセル神戸のセレクションを受けたくらいで。こういう機会はあまりなかったです。他校の子と一緒に練習ができて、自分がどれくらいのレベルなのかが分かるという意味では、良い経験だと思います」

―セレクションに通ったのは、自分のどういう点が評価されたのだと思いますか?
「僕の長所はドリブルなんですけど、セレクションを通して結果を出していたので、そこが評価されたのかなと思います」

―結果を出すというのは?
「ゴールを取れていたので。そこが目立ったんじゃないかなと思います。(手応えは?)自信はありました。セレクションでは、1年で一番いいくらいのパフォーマンスができたので、『100パーセント自分が選ばれるだろう』と思ってました」

―振り返って、どうしてそこまで良いパフォーマンスを出せたと思いますか?
「あまり特別なことをするのでなく、普段からやっているプレーを心掛けたところが良かったのかなと。(緊張は)最初、受ける前は少し緊張したんですけど、セレクションが始まって、ちょっと良いプレーができていくうちに緊張が取れてきて。途中からはもう全然セレクションということを忘れてて、普通に楽しくプレーをやってた感じですかね」

―グローバルファイナル、バルセロナで一週間のセレクションについて
「ヨーロッパは初めてだったので、普通に楽しみにしてました。バルサも大好きですし。サッカーというよりは、普通に旅行として楽しみでした」

―バルセロナで印象に残ったことは?
「クラシコが見れたことですね。バルセロナ対レアル・マドリー。バルサホームで、3-1でバルサが勝ったやつです。生バルサはテレビで見る2倍速かったです。ヤバかったす(笑)」

―グローバルラウンドでのプレーはどうでしたか
「まず、海外の選手とプレーすること自体が初めてだったんで、どんな感じのプレーをするのか全然想像できなくて、楽しみというか、やってやろうという感じでした。(実際にプレーしてみて)『なんやろ、キックが上手いな』、と思いました。ディフェンスとかも、日本でやるよりは足も伸びてきますし、サッカーに命掛けてるって感じで。(印象に残った選手は)コロンビアのケビンってやつがいて、その子も最後の16人に残ったんですけど、彼は上手かったですね」

―自分のパフォーマンスに手応えはありました?
「僕の武器はドリブルなんで、最初からドリブルでアピールしていこうと思っていました。そこは結構、通用していた部分もあったので、やり切ったかなと思います。逆に、難しさを感じたのはコミュニケーションの部分。もっと感情を出さなければならないというか、どうしても遠慮してしまう部分がありました。海外の選手は普通にサッカー以外のところでも、国籍関係なく仲良くなったりして、ピッチでもコミュニケーションを取れていたので、その点はもっとやれたんじゃないかと思います」

―最後の16人に選ばれてツアーに参加しました。その時の心境は?
「セレクションの最後の試合が微妙だったので、たぶん選ばれないだろうと思いながら、ちょっとだけ期待もしていたので、本当に呼ばれたときはもう、わけわかんなかったですね、うれしすぎて(笑)」

―グローバルファイナルのスカウトにどういうところをアピールできたと思いますか?
「コーチにも言われたんですけど、ドリブルの部分が一番評価されたと思います」

―ドリブルが武器というのは、もうずっと意識してやってきたのでしょうか?
「はい。中学の頃から自分はドリブルだと思ってやってました。練習のときはずっと、もうドリブルしかしなかったって感じです」

―逆に当時の課題はどの辺?
「守備の部分であったり、状況に応じてパスしたり周りを使ったりとか、状況判断は足りてなかったですね。今もまだ足りてないと思います」

―16名に選ばれた後の、ツアーはどうでした?
「16人で各地を回って練習して試合して、という感じです。試合は全部で5試合だったんですけど、最初はアメリカのチーバスUSAの下部組織、次にアメリカのU-17代表、次がイタリアに行ってユベントスのユース、マンチェスター・ユナイテッドのU-21、最後はナイキアカデミーでした。マンUが一番衝撃的でしたね。スピードが速いというか、ゆっくりする部分がない。とにかく前に速く攻めてくる。日本でやっていたサッカーとは全く違いました」

―ツアーで一番変わったこと、得たものは?
「サッカーの考え方の部分で、もっと結果を意識するようになりました。それまでは全然、『ドリブルで相手抜ければいい』と思っていたところがあったんですけど、周りの選手たちを見ていると、とにかく結果、結果を大事にしているんですね。『結果を出さなければ意味がない』と。刺激を受けましたし、自分ももっと上のレベルでやりたいと思いました」

―それが、高校卒業後のサバデル挑戦につながった?
「そうですね。海外でプレーしたい気持ちは最初からあったんですけど、それまでは全然現実的に考えられなかった。でもCHANCEに参加して、まだまだ上の選手がいますし、挑戦してみたいという気持ちが強くなりました。サバデル挑戦は、やれる機会をいただいたので、迷わず挑戦を決めました。高校を卒業したらすぐ、サバデルに行く話があって。ただ、ビザとかの問題で時間が掛かっていて、チームに入るのは遅くなりましたけど」

―現状について。サバデルではどういう状況ですか
「Bチームなんですけど、違うチームにいまして。レンタル的な感じで、サバデル・ノルドっていうチームなんですけど、サバデルBも別にリーグをやっていて、4部リーグですね。まあ、結構レベルは高くて、上のリーグとはまた違った、激しくてガチガチなサッカーです。サッカーというよりも戦いというか」

―プレー環境としてはどうですか
「プレー環境はいいですね。サッカーする環境としてはいいと思います。(自分のパフォーマンスは)調子はいいんですけど結果が出てないんで、もっと、どん欲に点取りに行かなければならないと思います」

―今感じていることだと思いますが、日本人が世界で戦うために必要なことは?
「やっぱり、なんやろ、気持ちでプレーは変わるんで、たぶん海外の人は常に自信持ってやってるから、良いプレーができる。自分はちょっとまだ自信を持ってプレーできていなくて。良いプレーができているときは気持ちも楽な感じでやっているので、まずは自分に自信を持つことだと思います」

―今目指している目標は?
「僕の一番上の目標はレアル・マドリーでプレーすることです。そのためにも今は、目の前の試合で結果残すことだと思います」

―セレクションに参加する後輩たちにメッセージを
「自分に自信を持て。それだけですね。自信を持ってプレーしたら良いプレーができると思う」

―目標とする選手は?
「ずっとクリスティアーノ・ロナウドなんですけど、それはずっと変わらないですね。もうヤバイっすね。(彼のようになれる?)まだまだ大丈夫です。今やるべきことをやれば大丈夫だと思ってます」

―ロナウドのように、スパイクはMercurialを履いている?
「いや、スパイクはHypervenomなんで、そこは違うんですけど(笑)。Hypervenomは最高っすね。あれが一番いい感じっす。一番フィットします。ドリブルのタッチもしやすいですし、あれが一番いい感じ。自分のドリブルはドーンって真っ直ぐ行くより、タッチとフェイントでかわすタイプなんで」

(取材協力 NIKE JAPAN)

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