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アギーレ監督契約解除…大仁会長会見要旨

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 日本サッカー協会は3日、日本代表のハビエル・アギーレ監督との契約解除を発表し、都内で大仁邦彌会長が記者会見を行った。

以下、会見要旨

●大仁邦彌会長
「2月2日の夜遅くにアギーレ監督に対する検察の告発が受理されたという事実が確認された。私共としてはアギーレ監督の指導者としての手腕を高く評価していたので、受理されないことを願っていたが、大変、残念な結果に終わったと思っている。今回の告発の受理について、私たちとして一番考えないといけないのは日本代表チームへの影響。どういう影響が出るかということ。日本サッカー協会にとって最大のミッション、使命はW杯への出場。2018年のロシアW杯の出場権を何としても獲得しないといけない。その予選が6月から始まる。今回の告発の受理によって、これから捜査が始まり、そのあとには起訴され、裁判が始まる可能性がある。我々としてはW杯アジア予選にできるだけ影響が出ないように、そういうリスクを排除する必要があると考えた。ということで今回、アギーレ監督との契約を解除するという結論に至った。

 まず第一に今回の契約解除の理由は代表チームの活動への影響、W杯予選への影響。そのリスクを避けたいということ。八百長に関与したという事実は確認されていないので、それが理由ではない。アギーレ監督にとってこの問題は名誉にかかわる大変重要な問題だと思っている。アギーレ監督には無実の証明に全力を尽くしてほしいとも考えている。

 本日の2時にアギーレ監督に私から直接、契約の解除を申し入れ、監督は『やむを得ない』ということで同意している。誠に残念な結果になって申し訳なく思っている。代表の選手、ファンやサポーター、あるいはスポンサーの皆様、関係者の皆様には大変ご心配をおかけして、申し訳なく思っているが、今回の結論を理解していただき、今後もご支援をお願いしたい」

―3月に国際親善試合があるが、後任の進捗状況は?
「できたら3月の試合には間に合わせたいと思うが、それに間に合わせるためにこのへんでいいだろうという人材を選ぶことはない。いずれにせよ、技術委員会がこれから全力を挙げて、新しい監督を含む新しい体制をつくるために取り組んでいくことになると思う」

―アギーレ監督から違約金などの要求はあったか?
「アギーレ監督とは今回の解約について条件面でも合意しているが、内容については守秘義務があるので、ここでは申し上げられない。違約金という形はない」

―もっと早く決断できたのではないかという意見もあると思うが、このタイミングの決断の理由は?
「我々はアギーレ監督の手腕、力量を高く評価している。これまでの日本代表のチームづくりにも高い評価を与えている。できたらこの体制で今後も続けていきたいということで、告発が受理されなければ、何の問題もなく、今後もこの体制でいけると考えていた。その点を見極める必要があったので、このタイミングになった」

―契約解除を伝えたとき、アギーレ監督は何と言っていたか? 告発が受理されたら解任というのはいつから考えていたのか?
「アギーレ監督がオーストラリアから帰ってきて、(アジア杯の)報告に来たときに、私からはもし受理されたら非常に厳しい状況になることは理解してほしいということは伝えていた。今回、告発が受理されたということで、日本代表の活動に大きな影響、W杯予選に大きな影響が出るので解約したいと。それは理解してもらった。いつ決断したかについては、いろんな状況を想定していたが、受理されたということでこういう結論に達した。(アギーレ監督は)『やむを得ない』『分かりました』ということだった」

―役員の処分はいつの理事会に諮る予定か?
「2月の理事会に諮りたいと思う」

―告発の受理は何時ごろ、どういう形で確認したのか?
「アギーレ監督の代理人弁護士とこれまでもずっと毎日のように連絡を取っていた。昨日の夕方から連絡を取っていたが、なかなか連絡が付かず、(夜の)12時近くになってようやく連絡が付いて、その事実が確認できた」

―法務委員長の立場で今回の告発受理をどう考えているか?
(三好豊法務委員長が回答)
「解除の理由は、アギーレ監督が八百長に関与した事実を協会が確認したからということではない。告発の受理というのは、あくまでも捜査が正式に開始されるという効果を持っているだけのもので、このあと捜査が正式にあって、そのあと起訴するかどうかの判断があり、最終的に起訴された場合に判決が出て、そこで八百長があったのかなかったのかが裁判所によって正式に判断される。受理されたことは捜査を開始するというだけなので、協会としてはアギーレ監督については無罪推定の原則。有罪を前提に解除したということではない。今の時点ではあくまでも無罪であるという前提で、監督に対して対応しないといけない。ただ、今後の代表チームへの影響を考えたときに、(告発が)受理され、捜査にアギーレ監督が対応していかないといけない。もし起訴となると、さらに裁判手続きにも対応しないといけない。いろんなことを考えたうえで、そういったマイナスリスクを今の時点で取り除くことが日本代表チームにとってプラスであるという考えに基づいて解除に至った。法務委員長としても異論はない」

―会長自身、責任はどう感じているか?
「アギーレ監督を選んだということは間違いではなかった。あの時点でこうした情報はなかったし、彼の高い能力からすれば、あの監督を選任したのは間違いではなかったと思っている。ただ、こういう結果になったということで、代表の選手にも申し訳なかったと思うし、ファンやサポーター、スポンサーの皆様、サッカー関係者の皆様に心配をかけたということで責任は感じている」

―今後の監督選びは今までと変わってくるのか?
「これから技術委員会で検討してもらうことだが、W杯予選に向けて、この先、短い準備期間しかないが、日本代表チームをどう強いチームにしていくかという観点から、技術委員会で今までの経緯を含めて全力を挙げて取り組んでもらいたいと思う」

―アギーレ監督を招聘する時点でもっと調査しておくべきだったのではないか?
「それについては私共も反省している。もっとしっかりと調べておくべきだった。あの時点でそれが分かったかどうかは分からないが、今後はそういうことがないようにしっかり調べたい」

―後任人事はアギーレ監督と同様、原専務理事、霜田技術委員長が中心となって選ぶのか?
「今までもそうだが、原と霜田が選んだわけではなく、技術委員会で検討し、最終的に理事会で決めたということ。今後も監督の選任については技術委員会が中心となって行う」

―すでに何人かリストアップしているのか?
「後任については、この情報が出て、いろんな対応を考えている中で、技術委員長には『万が一に備えてそういう情報は集めておくように』ということは伝えていた」

―契約解除について霜田委員長とどういう話をしたのか?
「監督の指導力とかそういう問題ではないケースなので、私のほうで今回、やむを得ないと。W杯予選への影響を考えると、契約を解除せざるを得ないということを霜田委員長に伝えた。『情報を収集するように』と伝えたときにも、そういう話はしていた」

―これまでは起訴されるかどうかが一つのポイントになると話していた。告発が受理されて監督が裁判所に出廷する場合も2月など代表チームの活動には支障をきたさないと話していたが、この段階で契約解除に至ったのはなぜか?
「私は起訴されるかがポイントとは言っていない。以前から告発が受理されたらそこで説明すると申し上げていた。ただ、告発が受理されたというのはそれなりの根拠があって受理されたのだと思うし、起訴される可能性が出てきたということで、起訴されたら解任せざるを得ないとは思っている。起訴されて解任しないといけないのがW杯期間中になるのは最大のダメージ。そのダメージは避けたい。となると、今のこの時点しかタイミングがないというのが今回の一番の理由」

―スペインではもっと早い段階で告発が受理されたという報道があったが?
(三好豊法務委員長が回答)
「受理されたのは先週の金曜日、1月30日とアギーレ監督の代理人弁護士から聞いている。1月14日ぐらいにスペイン紙で報道があったかと思うが、あれは事実ではなかったと我々は認識している。随分前に受理されていたのに今まで放置していたということではない」

―後任監督の候補に日本人も含まれているのか?
「何人という前提で技術委員会はやっていない。私からもそういう話はしていないし、最もふさわしい人を選ぶのが大前提だと思う」

―3月の親善試合は監督代行で臨む可能性もあるのか?
「何としてもそれまでには間に合わせたいと思っているが、“間に合わせ人事”はしたくないので、その可能性がゼロとは言えない」

(取材・文 西山紘平)

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