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「勝たせる存在」に近づきつつある日本高校選抜候補MF鈴木徳真

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 前日の駒澤大戦で自身のプレーができずに悔しい思いをしたというU-19日本代表MF鈴木徳真(前橋育英高)が躍動。日本高校選抜選考合宿最終日に印象的なプレーを見せた。駒大戦では押し込まれる時間が長い展開の中、鋭い読みを活かして中盤でボールを奪うなど持ち味の一部を発揮していたが、決定的な仕事をすることができず。だが、この日は味方の動きをいつ確認していたのかと思わせるようなパスや相手のファーストDFの逆を簡単にとってしまうドリブル。そしてゴールへの意識の高さを感じさせるプレーで得点に絡んだ。

 中盤から距離の長いスルーパスでゴールを演出。3本目には自ら長い距離を駆け抜けてPAへ飛び出し、FW中島隆司(立正大淞南高3年)のスルーパスを左足でゴールヘ流し込んだ。ミスなくボールを捌くことももちろん重要だが、捌いて、捌いてと安全なプレーになってしまっている自分に気づいた。ボランチの鈴木が80分間、90分間のゲームで常にチャンスに絡み続けることは難しい。だが試合のどのタイミングで、どの場所でゴールに対してどん欲になる必要があったかということをよく考えているという鈴木は、相手に隙あればゴールに直結しそうなパスを積極的に出し続けてゴールをもたらした。

 前日の駒大戦はまず1本目に出場。1-0で終えると、3度目の出場となった5本目は交代出場後に3得点が生まれてトータル4-3で逆転勝ちした。この日も自身がゴールに絡んだ1本目と3本目に勝利。全国高校選手権でも準決勝での劇的ゴールなどによって前橋育英にとって初となる決勝進出へ導いている。

「今年、勝ち多いんですよね。今までは自分さえ良ければというのがあってチームが負けていたんですよ。勝たせるために自分がどうすればいいのか考えて、今年はそれ(自分が持ち味を発揮する部分と勝つために何をすればいいかという部分)をミックスさせているんですけど、いいですね」。高い技術に加え、チームの状況、試合の流れを把握してそれを周囲に伝えられる司令塔。それが現在、チームを勝たせるためにやるべきことが整理されつつある。そして結果が伴ってきている。この後、4月まで続くであろう日本高校選抜の活動の中でも勝たせる存在として、ひとつでも多くの白星をもたらす。

[写真]3本目8分、PAへ飛び出した鈴木が左足でゴール

(取材・文 吉田太郎)

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