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アギーレ前監督解任で協会幹部に処分なし 大仁会長ら3人が給与自主返納

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 日本サッカー協会は12日、都内で理事会を開き、八百長疑惑で日本代表のハビエル・アギーレ前監督との契約を解除した問題で協会幹部に対する処分は科さないことを決定した。

 そのうえで大仁邦彌会長、原博実専務理事、霜田正浩技術委員長の3人が給与の一部を自主返納すると発表した。返納額は大仁会長が50%を4か月間、原専務理事と霜田技術委員長が30%を4か月間。

 理事会では大仁会長から各理事に対し、アギーレ前監督との契約解除に至る経緯を説明。「代表チームの選手、日本代表のファン、サポーター、そしてスポンサーの皆様、サッカー関係者の皆様にご心配、ご迷惑をおかけしたことに責任を感じている」と釈明し、「監督の選任にあたって協会がちゃんと(身辺を)調査したのか。協会としてそういう意識がなかったのも確かだろう。その点を我々は反省しないといけない」と述べた。

 一方で「これから4月にFIFA理事の選挙があり、年末には新しい規約の下で会長の選任が始まる。また、2015年4月から8年間の事業計画を制作しており、その責任をまっとうしたい」と、会長としての職務を続けることで責任を果たしたいと申し出た。同様に原専務理事も「責任をまっとうしたい」と述べたという。

 また、後任監督との交渉のため離日中の霜田委員長について、大仁会長はアギーレ前監督との契約解除を決定した今月3日に「責任を取って辞めたい」と辞意の申し出があったことを明らかにしたうえで、「今現在、最優先でやらないといけないのは新しい監督、新しい体制を整理すること。『そのままやれ』と申し付けている」と慰留。処分に関しては協会に一任することで同意したと説明した。

 大仁会長によると、理事からは「契約時にきちんと情報を確認できなかったのか」「契約解除に至るまでの対応はよかったのか」「契約解除は正しかったのか」などさまざまな意見が出たが、「最終的には、この件に関して会長、原専務理事、霜田委員長について責任はないということを理事会として結論をいただいた」と、理事会として処分を科さないことが決まった。

 そのうえで「私共としては、いろんな方にご迷惑、ご心配をかけた。(監督の身辺調査など)チェックについては不備な点があったということで、責任を取るということで自主的に給与を返納したい」と申し出て、3人が給与を自主返納することで理事会の承認を得たことを明らかにした。

 日本協会は今月3日、2011年5月21日に行われたリーガ・エスパニョーラ最終節のレバンテ対サラゴサ戦をめぐる八百長疑惑でスペイン検察当局の告発がバレンシア裁判所に受理されたことを確認し、アギーレ前監督との契約解除を発表。大仁会長は「私を含む役員や関わった責任者に対する処分を検討し、今後理事会に諮りたい」として、この日の理事会に諮る考えを示していた。

 アギーレ監督の招聘は当時、技術委員長を兼ねていた原専務理事と霜田委員長が中心となって進められたが、大仁会長は3日の会見で「アギーレ監督を選んだということは間違いではなかった。あの時点でこうした情報はなかったし、彼の高い能力からすれば、あの監督を選任したのは間違いではなかったと思っている」と強調していた。

(取材・文 西山紘平)

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