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成長して前評判覆すチームへ!昨夏日本一の東福岡が日章学園との接戦制す:九州新人戦

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[2.15 九州新人大会準々決勝 東福岡高 3-2 日章学園高 西原町民陸上競技場]

 第36回九州高校U-17サッカー大会(九州新人大会、沖縄)は15日、準々決勝と準決勝を行った。昨年の全国高校総体優勝校の東福岡高(福岡1)と日章学園高(宮崎2)との一戦は、3-2で東福岡が逆転勝ちした。

 U-18日本代表候補3人を擁していた13年度、MF中島賢星(現横浜FM)、MF増山朝陽(現神戸)という2人のJ内定者が中心だった14年度に比べると、個の力は落ちるかもしれない。その中で東福岡は私生活から意識を高めて、隙のないチームにしていかなければならない。森重潤也監督は「そういうところからしたたかなチームをつくっていこうという感じです。(個々が成長するために)勝ち上がって、もう1回苦しいゲームをできるのは大きい」。“幸運”も味方につけたゲームを制して、準決勝へ勝ち上がったことを喜んだ。

 新10番の司令塔・MF中村健人(2年)を中心にボールを左右へ動かしながら攻める東福岡はタイミング良く相手の背後を狙う184cmFW餅山大輝(2年)の動きや右MF毎熊晟矢(2年)、左MF高江麗央(1年)の突破も活かして主導権を握ると、8分には中央で得たFKから中村がグラウンダーのパス。マークを外した餅山の左足シュートがゴールを襲う。だが、先制したのは、GK松井朝輝(2年)とCB児玉響(2年)、CB小野尚樹(2年)中心に集中して守り、逆に1タッチのパスを交えながら攻め返していた日章学園の方。15分、右サイドから左SB鈴木健(2年)が入れた左足FKを、ファーサイドから中央へ飛び込んだMF當瀬司(2年)が頭で合わせてリードを奪った。

 早稲田一男監督が「コイツが一番頑張っていますよ。(きょう)この中で唯一褒めました。気持ちが強い。貪欲さがある」と評した當瀬のゴールで日章学園が先制。対して、27分に早くもMF田尻京太郎(1年)を投入した東福岡は33分、右サイドの毎熊からのパスを中央の餅山が落とすと、マークを巧みに外した田尻が左足シュートをねじ込んで同点に追いついた。

 日章学園の早稲田監督は「もうちょっとセーフティーに動かしながらチェンジサイドとかをやっていかないと」と試合内容について首を振ったが、それでも左の159cmMF竹脇雄大主将(2年)と中盤の底に位置するMF野崎悠(2年)のところでよくボールがおさまり、速いテンポのパスを繋ぐシーンも。14分に中盤をドリブルで打開した野崎を起点に竹脇が決定的なクロスを上げた場面は得点に繋がらなかったが、直後に2人を入れ替えると、再びゴールが生まれる。17分、連続攻撃からDF城戸竜弥(2年)が上げた左クロスのこぼれ球を交代出場MF岩切拳心(1年)が右足でゴールへ突き刺して勝ち越した。

 それでも東福岡は19分、日章学園GKのダブルキャッチで得た間接FKから素早く餅山がリスタート。これをPAでフリーだった左SB小田逸稀(1年)が右足で押し込んで同点に追いついた。納得し難い判定に対する日章学園の抗議も認められず。これで気落ちした日章学園の隙を突いた東福岡は、3分後の22分、中村のスルーパスで左サイドを抜け出した餅山が右足で決勝ゴールを流し込んだ。この後、空中戦で強さを発揮するCB山田英二(2年)中心に相手にチャンスらしいチャンスを作らせず、逆に攻め続けた東福岡が3-2で勝った。

 今年の東福岡が1、2年前のように評価を上げられるかどうかはこれから次第。昨夏の日本一を経験しているU-17日本代表GK脇野敦至(2年、この試合は欠場)は「今年は去年よりテクニックとかが落ちると思うので、そこを一生懸命練習して去年のところまで引き上げて、去年にない自分たちの特長というのをどんどん作っていきたいと思います」と誓う。また中村は「スタッフとか周りからは『ちょっと弱い』と言われているんですけど、自分的にはまとまれば強い。集中も切れないでみんなマジメなので、スタッフもやりやすくなるんじゃないか。まだ技術がしっかりしていないので、みんなで意識上げて練習からバチバチやっていって高めていきたいです」。半年後、そして1年後に評価を覆すことができるか。続く準決勝で国見高に1-0から追いつかれ、PK戦で敗れて甘さも見せた東福岡。ここから日々の努力で個々とチームを成長させる。

[写真]東福岡の攻撃の柱、FW餅山は決勝点を決める活躍

(取材・文 吉田太郎)

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