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[MOM1324]国見MF彦坂亮太(2年)涙から切り替え、東福岡ゴールにミドルシュート突き刺す

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[2.15 九州新人大会準決勝 東福岡高 1-1(PK2-4)国見高 東崎公園サッカー場]

 劇的な同点ゴールを決めたヒーローは数時間前大泣きしていたという。国見高の小嶺栄二監督は「きょうのゲーム、前の試合(準々決勝の那覇西戦)で勝った時に一人大泣きしていてですね。『緊張と、普段のプレーが上手くいかない』と。それで、みんなが協力したら問題ないということと、チームの力になっているということを伝えてですね。嬉しいですね。そういう選手が変えてくれたのは。あんなシュート、トレーニングで見たことないですね」と説明。この日午前に行われた準々決勝で国見は4-1で逆転勝ちを収めていたが、10番、MF彦坂亮太(2年)は「今大会上手くできなくて調子が悪かった」。思い通りのプレーができずに責任を感じていた。

 それでも仲間や恩師の励ましによって意識を切り替えた。那覇西戦終了から2時間半後に行われた準決勝の対戦相手は昨夏の全国高校総体王者・東福岡。その強敵との戦いで、彦坂はチームのサポートを受けながら中盤で奮闘すると、試合終了3分前の後半32分に左ロングスローのこぼれ球を右足ミドルで決めてチームを救った。

 1点ビハインドの劣勢を跳ね返す一撃は、U-17日本代表の名手・GK脇野敦至から決めた殊勲弾。それも打った瞬間「入ったなと思いました」というシュートは地を這うような鋭い軌道を描いてゴールへ突き刺さった。「残り時間少なくなって焦っていたんですけど、自分のところへ転がってきて打つしかないと思って。打ったらいい当たりになった。(ロングスローからのシュートは)普段からチームで練習している。最初に先制される試合が続いていたので絶対にあきらめないと話し合って同点に追いついてPKで勝てたんで良かったです」。PK戦ではGK紫垣亮(2年)の大活躍があったが、それも彦坂の同点ゴールがあったからこそ。自身と葛藤し、それを乗り越えてしてのけた大仕事には、指揮官も頬を緩めていた。

 この日の後半はセカンドボールの攻防戦でも健闘。守備面の貢献度も大きかった。本人の目標はより攻撃面で仕事のできる選手だ。「自分としてはもっとスルーパスとか出せる選手になりたい。(憧れは)ボランチだったらシャビとかイニエスタとか」。決勝では力を発揮することができずに大津高に敗れたが、準優勝。夏の総体予選までに力を磨いて、自身も納得するプレーをコンスタントにできる選手になる。

[写真]同点ゴールを喜ぶ彦坂(10番)と国見イレブン 

(取材・文 吉田太郎)

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