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[PSM]古巣撃破の隼磨「この程度でマツさんは褒めてくれない」

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[2.21 PSM 横浜FM0-1松本 日産ス]

「AED普及マッチ」と題されたプレシーズンマッチ。11年8月4日に急逝した故・松田直樹さんが在籍した横浜F・マリノス松本山雅FCの対戦は後半アディショナルタイムの決勝点で松本が1-0で勝った。

 昨季から故郷のクラブである松本に加入し、松田さんが付けていた背番号3を受け継いだDF田中隼磨は、04年から08年まで所属した古巣との試合に特別な思いを持って臨んだ。

「どういう気持ちになるか楽しみだったけど、感情をコントロールするのが難しい試合だった。なかなか言葉では表せないし、マツさんの想いを含めて、マリノスとこうやって対戦できたことは感慨深い」

 試合は守勢に回る時間が長かったが、選手全員が体を張った粘り強いディフェンスを見せ、最後までゴールを許さなかった。後半アディショナルタイムには田中の右クロスからこぼれ球をDF鐡戸裕史が押し込み、決勝点。最後まで運動量の落ちなかった松本が、気持ちでまさった試合だった。

「いろんな人の思い、つながりがあって、こういう試合ができた。いろんなメッセージを伝えられたと思うし、ピッチの上でもマリノスの選手を含めてマツさんの魂を込めて戦えた」

 クラブ史上初のJ1昇格を決めた昨年11月1日の福岡戦(2-1)。試合後は「ありがとう 松田直樹」と書かれたアンダーシャツ姿となり、人目をはばからず号泣した。昨年5月に右膝半月板を痛めながら、その後も離脱せずにフル出場を続け、松田さんの思いも胸に松本を初のJ1昇格に導いた。

 そして、プレシーズンマッチとはいえ、自分自身と松田さんの古巣である横浜FMに勝利。それでも田中は「この程度でマツさんは褒めてくれない。もっと熱いプレーを見せて、マツさんに認められるようにがんばりたい」と満足することなく、2週間後に迫ったJ1開幕に視線を向ける。「Jリーグが始まって、またマリノスと対戦するときに勝てるようにしたい」。次の対戦は5月23日のJ1第1ステージ第13節。ホームの「アルウィン」に横浜FMを迎える。

(取材・文 西山紘平)

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