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[MOM337]九州選抜FW薗田卓馬(3年)_走れる“持っている”FWが勝利に導く2ゴール

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[2.27 第29回デンソーカップチャレンジ準決勝 九州選抜2-0関西選抜]

 試合前の狙い通り、0-0で迎えた後半。勝負に出た九州選抜を勝利に導いたのは福岡大FW薗田卓馬(3年=鹿児島城西高)だった。

 相手にボールを持たれる時間が長かった前半も、「九州らしい前からボールを奪うサッカーが出来ていた」と自信を見せたように前線からの果敢なプレッシングで守備の急先鋒として機能。攻撃に転じてからも、持ち味である裏への飛び出しで相手ゴールへ果敢に迫った。一つ目のチャンスは前半33分。自陣からのロングパスに素早く反応し、ゴール前フリーでボールを受けたが、トラップが大きくGK大西将(阪南大3年=阪南大高)に阻まれてしまう。

 二度目の決定機は後半20分。右サイドを上がったDF森山智文(佐賀大3年=大津高)がゴール前にクロスを展開。薗田はPA左にポジションを取り、折り返しを狙っていたがGKが弾いたボールが自らの足下に入った。「自分の所に落ちるとは思っていなかった。持っているな、ラッキーだと思った」と予想外のボールだったが、冷静にゴール右を狙い先制点を奪った。

 後半24分にも自陣のロングボールを関西選抜DF井筒陸也(関西学院大3年=初芝橋本高)に処理されてしまったが、「相手は下げるだろうなと思っていたので、先に予測して狙っていた」とGKへのバックパスをカット。そのままドリブルでGKとの1対1に持ち込み、落ち着いて2点目を奪った。

 後半30分にも左サイドから上がったグラウンダーのクロスにゴール前で合わせて、ネットを揺らしたが判定はオフサイド。「ハットトリックしたかったけど、明日も決勝戦があるので置いておきました」と笑みを見せた。

 前線からの果敢な守備や、スペースへの飛び出しなど、“走り”の部分が目を引く選手だが、鹿児島城西高時代は「ポストプレーばかりで、あまり走らないタイプの選手だった」という。そんな彼が福岡大に入って、成長を実感するのは守備面。「普通のFWは得点を重視しているけど、僕はプロを目指している。現代のサッカーは走らない選手はいらないと思っているし、チームのために走れる選手にならないといけない」と意識改革に取り組んだという。

「特別足が速かったり、身体能力が高いわけじゃないけど、今日みたいに決めて欲しい所で決めてくれる“持っている奴”。途中まで試合から消えていても、一点を獲って美味しい所を持って行くタイプ」。彼をそう評すのは福岡大のチームメイト稲葉修土。もちろん、単に持っているだけでなく、「今日の2点目の場面で、冷静にゴール前で切り返してシュートを狙えたのも、普段から練習してきたからだと思う」と稲葉が続けたように、今日の2ゴールは普段から練習終わりにコツコツとシュート練習を繰り返すなど努力を重ねた賜物と言える。

 昨年は負傷を押して強行出場。2得点をあげたが満足の行く出来ではなかった。それだけに今大会にかける思いは強く、「今までは結果を出せていなかったので、今大会で目立ってプロにも行きたいし、全日本にも入りたい」と意気込む。

「最近、九州が決勝まで行けていなかった。今大会が自分にとって最後のデンソーカップ。久しぶりに決勝進出できて安心しているけど、次も勝って優勝したい」と決勝戦でも自らの活躍でチームに歓喜をもたらすつもりだ。

(取材・文 森田将義)


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