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[MOM339]全日本選抜MF木本恭生(3年)_大会MVPに輝いた全日本不動のボランチ

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[2.27 第29回デンソーカップチャレンジ決勝 全日本選抜1-1(PK5-3)九州選抜]

 試合後の表彰式で、最優秀選手として自分の名前が呼ばれたとき、誰よりも戸惑いの表情を見せていたのが全日本大学選抜MF木本恭生(福岡大3年=静岡学園高)だった。

「自分がもらえるなんて、まったく思っていなかった。むしろベストイレブンに自分が呼ばれなかったので、悔しいという思いのほうが大きかった」と木本。チーム始動以来のレギュラーメンバーで、今大会でも3試合連続出場した全日本の不動のボランチは、最優秀選手のトロフィーを受け取った後も信じられないような表情でそう語った。

 全日本選抜に最初に招集された時のポジションはCB。福岡大でもCBで、どちらかというと守備側の選手のイメージが強い。全日本で初めてボランチのポジションを与えられた昨年のデンソーカップ日韓定期戦では、ほとんど中盤の守備に徹底していた。

 しかし昨年は福岡大でもボランチを経験し、攻守両面で起点となれるボランチに成長。「昨年に比べると、この1年間で攻撃も、ボールをつなぐ部分にもトライをしてきて、今では自分の武器だと思えるようになった」(木本)。今大会でも、機を見ての攻め上がりはチームにとって頼もしく、相手にとっては一瞬でチャンスを作られるイヤな選手に思えただろう。

 全日本の選手の中では、唯一九州の大学に所属している。当然、決勝ではチームメイトや普段リーグ戦でプレーしている相手と対戦することとなった。前日には「同じ福岡大の稲葉修土とやるのが楽しみ。ふだんは同じボランチとしてコンビを組んでいる相手だけど、対戦したときにはどうお互いのいいところをつぶせるかだと思う」と語っていたが、その言葉どおりに決勝戦では激しいぶつかり合いが実現。「稲葉だけではなく、みんなが自分のところにガツガツきていたので、正直やりにくかった」と笑う。

 もともと、やみくもに攻撃参加するタイプでもない。初戦の前半はむしろ守備面を重点的にケアするなど、バランス感覚に優れたボランチだ。しかし相手がよく見知った九州の選手とあってか、決勝戦では序盤からアグレッシブな攻め上がりを見せた。「ドリブルで上がったときに、股を抜こうとするのが(九州の選手に)バレていて。それが悔しくてあえて狙ったけれどやっぱり取られてしまいました」。それでも、効果的な攻め上がりが全日本の攻撃のアクセントとなっていたことは間違いない。最優秀選手受賞は、誰もが納得するところだろう。

 一方で課題も明確になった。「つなぐ部分では手応えもあったが、90分を通してみたときに動きが止まっていた時間帯があった。今日は3試合目だったということもあるが、ユニバーシアード大会は過密日程なので、スタミナをもう少しつけなくては」。課題を克服するために残された期間は、ユニバー本番までの4か月しかない。「チームのテーマである三原則、“球際”、“運動量”、“切り替え”を忘れず、攻撃の部分でも質の高いサッカーをしていきたい」と、“最優秀選手”を早くも通過点として、意識を次のステップへと向けていた。

(取材・文 飯嶋玲子)

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