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長友指導する木場氏の下で体幹強化!「NIKE MOST WANTED」“日本代表”渡辺柊斗と渡邊凌磨が世界で勝つための身体づくり

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 世界で勝つための身体づくりが始まった。世界で戦える若きフットボールプレーヤーを探す世界規模のスカウトプロジェクト「NIKE MOST WANTED」のジャパンファイナルで勝者となったMF渡辺柊斗(東海学園高→東海学園大)とMF渡邊凌磨(前橋育英高→早稲田大)。彼らは世界約50か国から才能ある若者たちが集結して5月1日に開幕する「NIKE MOST WANTEDグローバルファイナル」に“日本代表”として参加し、イングランドフットボール協会の本拠地であるセント・ジョージズ・パーク にて6か月間(予定)のエリート・トレーニングを受けることができる「NIKEアカデミー」入りを懸けて戦う。

 世界で勝者となれば、欧州でプロになる夢に近づくことができる。その夢を懸けた戦いへ向けて準備を進める渡辺柊と渡邊凌は5日午後、都内で日本代表DF長友佑都や日本女子代表FW大儀見優季のパーソナルトレーナーを務めるプロトレーナー木場克己氏の指導を受ける機会を得た。「体幹」「体軸」という身体の中心部分の筋肉や神経を鍛えることで、「バランス感覚」も強化するトレーニング方法、通称「コバトレ」。木場氏の指導によって成長した長友にとって、「体幹の強さ」はもはや代名詞のひとつとなっており、また大儀見は「最初はブレブレだった」(木場氏)という体幹を「男子の選手が大儀見さん凄いという」まで強化してこちらもトッププレーヤーへと飛躍した。フィジカルレベルの高い世界を相手に勝つことを目指す渡辺柊と渡邊凌は、木場氏の「変わらなきゃいけない(サッカー選手として強化すべき)メニューを組んだ。特に脇腹とお尻。あとバランスですね。それだけで反応する筋肉は変わる」というメニューを実践。一つひとつのメニューがどこを意識すれば力になるのか、またどの箇所を強化して、どのような成果が発揮されるのか、そして自身の弱点はどこなのかを教わりながら、約1時間30分汗を流した。

 走る、蹴る、ジャンプする・・・それぞれの運動をするためにはたくさんの筋肉が連動している。例えば、強いボールを蹴るためには、単に足を鋭く振り抜けば良いのではない。足の裏でバランスを取ることや、身体の軸をブラさないことなどによって、力を正確にボールに伝えられたり、ミートできたりするのだ。強豪校に在籍してきた2人は体幹やバランスの重要性はもちろん知っていた。それでも今回のトレーニングによって新たに感じたことが多かったようだ。木場氏の著書2冊を持っているという渡邊凌は「意識する部分だったりとか、細かいところは自分では分からない。そういうところを木場さんに教えてもらえたので引き続きやっていこうかなと思います。意識することはやっていたんですけれども、何のためにということを正直やっていなかった。そういうところまで意識すればプレーの幅も変わってくる」。また渡辺柊は「今まで学校でやってきたんですけれど、負荷も違うし、キツかったし、ためになりました。自分の足りないのはバランス。キツいというよりはできなかった。筋肉ないし、体幹もみんなには『体幹ある』と言われていたんですけど、ぶつかると弱いので自信はなかった。グローバルセレクションのためだけじゃなく、大学でやっていくためにも身体は必要。継続してやっていく」

 今回はスペシャリストからのアドバイスを受けながら自分の身体を知る貴重な機会となった。臀部(お尻)と脇腹を鍛え、上半身のブレをなくすためのトレーニングでは、頭から軸足までが1本のラインになるよう意識。足につけたゴムチューブを引っ張りながら、左右の足で交互にステップを踏む。また四つん這いになり、対角となる腕と足を同時に開いていく運動などを行った。そしてバランス系トレーニングの最後には腰を落とし、重心を中央に寄せたままチューブによって負荷をかけられている足を横に移動。怪我をしないように、また長く走ることができるように臀部に筋肉をつけることを意識したが、2人は一瞬辛そうな表情も見せつつも、弱音を全く口にしないままトレーニングをやりきった。

 木場氏は彼らの良かった点について「理解力ですね」ときっぱり。そして「パッとフォームがつくれるということは、人の話を聞いているということなので、その話を聞いているということでフォームがつくれたという理解力があって、こういうトレーニングはこういうところに活かされるんだなと考えながら取り組んでいた。ふつうの高校生のアスリートより体幹力はありましたね。ただ、そこの部分をもっとサッカーに活かすためのバランス系はまだついていなかった。逆に言えば、そのトレーニングを取り入れることで伸びる素質はあると思います」とコメントした。

 木場氏から学んだトレーニングだけをすれば、体幹が身に着く訳ではない。木場氏は「気づきを与えるのがウチらだと思うので、彼らが『やらされているな』というメニューだと絶対にいいものにはならないですよ。このトレーニングは自分らにとっていいんだとなるかどうかは彼ら次第。今回、ある程度の基礎筋力とか体力はあったので、そこをどう活かしていくかが今後の課題になっていくと思う。伸びしろは凄くあると思うので、期待はあると思います」。週4回、教わったトレーニングを自分を高めるために、意識高く、目標を持ってやり続ければ、必ず変わることができる。4月末には彼らの自主トレーニングの成果を木場氏がチェックする機会が与えられるというだけに、その成果に期待したい。

 今後は「NIKE MOST WANTEDグローバルファイナル」の前に、Jクラブへの練習参加も予定されているという。一流選手が取り入れている「コバトレ」やJへの練習参加の経験は彼ら次第で間違いなく将来に繋げられるはず。「日本人と外国人ではドリブルの迫力だったり、足の振りの迫力が違うと思うんですけけれども、大儀見選手や長友選手は走り方とかそういうところも外国人に寄っていっているという風に自分でも思った。自分もスピードや力強さが欲しいのでより一層真剣にやろうと気持ちが増した。全体的に身体のコーディネーションを上げて行きたいので弱点を中心にやっていって、いいところを伸ばす。練習と同じですけれどもやっていきたいと思います」と語った渡邊凌、また「技術よりも身体というところ。大学でやるには身体が必要だし、グローバルファイナルでやるにも身体が必要。グローバルファイナルへ行ったら大学生とか、もっと大人のような体の人たちとやることになると思うし、それは高校では味わったことのないような感覚だと思う。少しでもフィジカル的に高いところにもっていきたい」という渡辺柊の2人は世界で勝つため、やれることをやり切ってその舞台に立つ。

(取材・文 吉田太郎)

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