beacon

決勝ゴールの大宮MF家長「90分間バラバラにならずにやれた」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[3.8 J2第1節 大宮1-0金沢 NACK]

 1年でのJ1復帰を目指す大宮アルディージャの攻撃は、やや単調だった。対戦相手は、J3から昇格してきたツエーゲン金沢。しっかりと中央を堅めて来た相手に対し、大宮は愚直にサイドから1トップのFWムルジャにクロスを入れ続けた。攻めあぐねているようにすら見えた形だが、MF家長昭博は「サイドから簡単にクロスを上げることであったり、シンプルに攻撃しよう」を意識していたと明かす。

 ハーフタイムにもチームで「続けること。こちらからバランスを崩して攻めに行って、カウンターを受けることだけは避けたかった」と話し合い、自分たちの個の強みを押し出す戦い方を続けた。しかし、後半21分には、この戦い方の肝ともいえるムルジャが負傷で交代を余儀なくされた。

 ムルジャと交代出場したMF泉澤仁が左サイドでボールを持ち、何度か会場を沸かせたが、得点を挙げられないイヤな時間帯が続く。それを打ち破ったのが家長だった。後半41分、カルリーニョスからの縦パスをMF金澤慎が1タッチで家長に当てると、家長も1タッチでFW清水慎太郎にパス。清水が前進しようとしたところ、DFに阻まれたが、浮き球を家長がヘッドでつなぐと、PA内に走り込んでいた金澤にボールが届く。金澤のヒールパスを受けた家長が右足でボールをゴールに突き刺した。

「落としたボールが転がって来たので、あとは決めるだけでした」と自身の得点シーンを簡潔に振り返る家長は、この試合が今シーズンを戦ううえでのモデルケースになり得ると話す。

「我慢しながらやり続けたことが一番だと思いますし、90分間しっかりバラバラにならずにやれたと思います。難しい時間帯も後ろの選手を中心にバランスを崩していなかったと思うので、そういうのが最後に点につながったと思います。やっぱり我慢しないといけないですし、自分たちが焦れて、攻めてバランス崩すのはあまり良くないと思おうので。チャレンジしつつ、一戦一戦、進化していけばいい」

 開幕戦でのシーズン初ゴールについて「個人的にも嬉しいですが」と言い、大切なのは勝ち点3を得たことだと言葉を続ける。「それ以上にチームとして勝てたことが大きい。引き分け、負けだったら、また違ったと思います。自分が点を取れたことも大きいですが、どちらかというと、チームが勝てた方が大きい」。

 次節は、早くもセレッソ大阪との大一番を迎える。かつて、自身も所属した相手を「昨年J1にいた力のあるチーム」と評した家長は、「自分たちの力がどれだけかをはかれる一戦ですし、チャレンジャーとして、挑戦したいです」と、気を引き締めた。

(取材・文 河合拓)

TOP