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今年の国体占う注目対決、U-16東京都選抜がU-16静岡県選抜に逆転勝ち!

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[3.8 ヤングサッカーフェスティバルU-16の部 U-16静岡県選抜 1-3 U-16東京都選抜 エコパ]

 次世代を担う若者の育成を目的に行われている「第30回静岡県ヤングサッカーフェスティバル」が8日、エコパスタジアムで開催された。U-16の部ではU-16静岡県選抜とU-16東京都選抜が激突。東京が3-1で逆転勝ちした。

 国体少年男子の部優勝20回(単独チームの優勝除く)の静岡と13年国体優勝の東京という、今年の国体を占う“前哨戦”とも言える好カード。U-16日本代表MF吉田峻、FW鈴木魁人ら昨年の日本クラブユース選手権(U-15)大会で準優勝した清水ジュニアユースのメンバー6人やFW中野優太(清水ユース)、右SB中矢裕貴(東海大翔洋高)という早生まれの高校生1年生が先発した静岡に対し、東京はMF品田愛斗、CB長谷川光基(ともに現F東京U-18)ら昨年の全日本ユース(U-15)選手権で優勝したF東京U-15深川のメンバー4人に加え、U-16日本代表のFW半谷陽介や全国高校選手権で先発出場したCB知久航介(國學院久我山高)といった高校生たちが先発に名を連ねた。

 立ち上がりプッシュしたのは静岡。素早く前線へボールを当て、2列目の選手たちがスペースへ飛び出すなど前への意識高いサッカーを展開すると、局面ではテクニックを駆使して崩しにかかる。前半7分には中野がPAで巧みにキープし、右サイドを駆け上がってきた中矢がクロス。これを鈴木魁が左足ダイレクトでゴールへ沈めて先制点を奪った。

 押し込まれた時間帯に失点した東京だったが、スーパーゴールで流れを取り戻す。10分、カウンターから右中間をドリブルで駆け上がった品田が、相手GKが前目にポジションをとっていたところを見逃さずにハーフウェーライン付近から超ロングシュート。GKの頭上を越えた一撃はそのままゴールネットへ吸い込まれた。「自分はキックが特長。いいゴールだった。そのあと自分たちのペースに戻せたので良かったと思います」という10番の一撃でスコアは1-1となった。

 積極的に縦パスにチャレンジしながら攻撃を組み立てる静岡は14分、左SB伊藤駿光(清水ジュニアユース)のクロスが直接ゴールを襲い、21分には左クロスをFW曽根大和(藤枝東FC)が頭で狙う。だが、幅を使いながら攻める東京の攻撃の前に、静岡はプレスで寄せきることができず、自由を与えてしまう。仕掛ける回数を増やした東京は22分、大型MF小林幹(F東京U-15むさし→F東京U-18)が右中間をひとりで打開。スピードに乗ったドリブルで一気にゴールライン際まで切れ込んで折り返すと、中央のスペースを突いたMF渋谷黎聖(三菱養和SC調布ジュニアユース→三菱養和SCユース)が右足でダイレクトでゴールへ押し込んだ。

「サポートの距離ということと、3人目の動き出しを意識してやろうということで取り組んでいる」と東京・坂井千明監督(清瀬市立清瀬四中)。個の力と、連動した守備などチームとしての良さも発揮し、前半だけで試合をひっくり返した東京は後半、「スペースを与えちゃったらあの子たち(東京)は上手い。でも、もう1m、2m寄せたら多分ゲーム変わってくると(ハーフタイムに)言って入った」と鈴木伸幸監督(桐陽高)が振り返る静岡に押し返された。7人を交代して後半に入った静岡はその開始直後に中野がクロスバー直撃の左足シュート。守備から流れを引き戻した静岡は吉田を軸にボールを動かすと、FW鈴木理久(浜松開誠館高)が前線でポイントとなり、左SB平本弦(東海大翔洋高)の攻撃参加がチャンスを生み出す。

 それでもMF金原颯(磐田U-15)の右足ミドルをGK早坂勇希(川崎F U-15→川崎F U-18)が横っ飛びで防いだほか、知久と長谷川を中心に最後のところで踏ん張る東京は同点ゴールを許さない。逆にMF池谷祐輔(川崎F U-15→川崎F U-18)のラストパスから小林幹が決定的な右足シュートを放つなど攻め返した東京は33分、相手GKのミスパスをインターセプトした鈴木幹が技ありのループシュートを決めて3-1。勝負の行方を決定づけた。

 13年の国体で39年ぶりとなる開催地Vの快挙を成し遂げた東京だが、昨年は激戦区の関東ブロック予選で敗退。国体本大会出場を果たすことができなかった。その反省点を共有しているという坂井監督は「(国体予選は)何がどうなるか全く予想できない。年度、年度ではなくて東京全体で取り組んでいければいい」と語った。また指揮官は東京からアンダーカテゴリーの代表入りを期待する。国体でアピールして代表入りへ。選手たちの意気込みももちろん強い。知久は「(国体は)いろいろな方から見られてたりする。プロになるための大事なアピールの場。(以前は)自分の立つ場所じゃないというのが少しあったけれど、最近呼んでもらって、最終的に日本一になるという目標がチームで統一されている。本格的に目を向けていきたい」と誓った。

 また小林幹は「2年前、東京国体でFC東京の先輩もたくさん出て、それをテレビで見たんですけれど、ボクたちも優勝したいと思っている。ひとつ上の先輩はミニ国体で負けている。今年こそは1位になって王者を奪還しなければいけないという責任を感じている。優勝目指していきたい」と意気込んだ。U-16東京選抜は春休みにマレーシア遠征を予定。個人、チームとして成長してまずは国体予選突破を目指す。

[写真]東京は前半10分、品田(10番)が同点ゴール

※所属チームは大会側が静岡・14年度、東京・15年度のものを発表。

(取材・文 吉田太郎)

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