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ビッグセーブで天敵・兵藤を完封のF東京 GK権田「今日は止めさせてもらいました」

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[3.14 J1第1ステージ第2節 F東京0-0横浜FM 味スタ]

 最大の見せ場がやって来たのは、後半9分だった。CKを得たFC東京だが、これが相手DFに跳ね返され、横浜F・マリノスのカウンターを受ける。前線に残っていたFW齋藤学がPA内までボールを運ぶと、走り込んできたMF兵藤慎剛にパスを出す。兵藤はGK権田修一と1対1になったが、ここでF東京の守護神が立ちはだかった。さらに、直後のCKの流れからもDFのクリアーボールを兵藤が鋭いダイレクトシュートを枠に飛ばしたが、これにもGK権田が反応し、ゴールを割らせなかった。

 この試合を観戦したバヒド・ハリルホジッチ日本代表新監督が「FC東京のGKも良かった」と唯一、具体的に選手を評価したが、総シュート数が2本、枠内シュートがゼロ本だったF東京が勝ち点1を上積みできたのは、GK権田の活躍があってこそだろう。

 試合後、日本代表監督の評価を聞いた権田は「人から評価してもらうことが、GKにとっては一番うれしいことなので、素直にうれしいです」と喜びつつも「ですが、すぐ4日後に試合があるので。そこで自分がどういうパフォーマンスをするかだと思うので、出来る限り早く家に帰って、次の試合に向けて準備をしたいなと思います」と、クールに語った。

 2012年6月以降、6度あった横浜FMとの対戦の中でF東京は兵藤に3点決められていた。そんな天敵のシュートを完璧に防いだことは、クールな守護神にとっても嬉しいことだったようだ。「兵藤選手には、今までわりとたくさんシュートを決められていて、さっき(横浜FMの)中町選手と話をしたときも『確かに兵藤は今までFC東京戦でよく決めていたな』と言っていました。今まですごい点を取られて、喜んでいた兵藤選手のイメージがあったので、試合が終わったあとに『すみません。今日は止めさせてもらいました』と言わしてもらいましたが、今までたくさん点を取られていたので、たまにはいいかなと思います」。

 ほぼ絶体絶命のピンチにも思えたこの場面だったが、権田はシュートコースが限定できていたと強調する。「あのタイミングでしか、シュートを打てないという状況に、ちゃんと持っていけていましたからね。(兵藤が)もう1タッチして、シュートが打てますよという状況だと結構、難しいのですが、あの状況でしか打てない状況になっている。それが大事なんです。どフリーに見えたかもしれませんが、あのタイミングで打たれなければ、味方が寄せることができるっていう状況にチームとしてできていました。もう少し未然に防ぐというのは今後の課題ですが、僕からしたら、あれだけマリノスがカウンター気味に来ているなかで、たくさんの選手が全力で戻ってきてくれていた。マリノスには、あそこに齋藤選手やアデミウソン選手という特徴のある選手がいたので、難しいのは当然のこと。兵藤選手がもう1タッチできて、僕が駆け引きできる状況ではなかったら難しかった。すごく前向きに考えると、あのタイミングでしか打てない状況に持っていけたことが良かったんだと思います」と、無失点にできたのは決して自分だけの力ではないと繰り返した。

(取材・文 河合拓)

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