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順天堂大・堀池監督「すべてのタイトルを本気で奪いにいく」

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 元日本代表DFで解説者としても知られる堀池巧氏が2015シーズンから関東大学1部リーグ・順天堂大の監督へ就任した。解説者から指導者へと“針路”を変更。最近では日本サッカー協会(JFA)でナショナルトレセンなど育成に携わり、多くの経験を積んできたなかで、今春からは大学サッカーという新たなステージへ挑む。

 堀池氏の監督就任が決まったとき、順天堂大の学生たちの胸中は複雑だった。今季主将を務めるGK志和大貴(4年=土佐高)は「確かな経験をされてきた方が来てくれるという期待と、3年間積み重ねてきたものが変わる不安とが混ざった、ゴチャゴチャとした気持ちがあった」と素直な思いを明かす。

 学生たちの戸惑いは堀池氏も感じ取っていたといい、「特に4年生は今までの3年間でやり方や考え方を積み重ねてきて、最後の年でパッと変わってしまうのが戸惑いはあると思う」と理解を示す。それでも学生たちへ、まずは監督である自分を信じるだけなく、選手自身が自分の目標を明確にするなかで、新しいやり方や考え方を受け入れてくれるよう訴えた。

「仲間だったり、チームメイトであったり、スタッフや関係者もそう。一番は自分自身を信じること。監督が代わっても、自分の目標さえ明確にしていれば、ブレることはない。それを信じてやろうよということ。監督が代わってもサッカーは変わらない。『ゴールを守って、点を取る』というシンプルなことがサッカー。ただアプローチの仕方が変わるだけ」

 監督へ就任した堀池監督は『挑戦なきところに成長なし』『自立』という二つのスローガンを伝え、「全タイトルの獲得を目指す。勇気と覚悟を持って、それに挑戦したい」と選手たちへ熱く語った。

 これまでの順天堂大は『組織として日本一』というスローガンを掲げていた。しかし、堀池氏はこれが「勝つことがすべてじゃない」という逃げの言い訳になっているのではないかと指摘。「しっかりと結果を出して、そこから生まれてくるプライドというのはある。じゃあまずは、勝つことを目指してみたら?そのために何ができるのか。そこから見えてくるものもあるよね?勝つことを明確に目指して努力するなかで、結果にこだわろう」と話したという。

 学生たちはこれを理解。実際にGK志和は「監督が変わったことを言い訳にせず、まずはしっかりと結果を出したい」と開幕戦へ向けて意気込む。

 就任から約3週間が経ち、2日後には開幕戦が迫っている。志和主将は「あまりチームとしての調子は良くないのが正直なところ。だからこそ、勝って波に乗りたい。初戦が大事になる」と目前の結果にこだわりたいと話す。

 堀池氏も選手たちの持つ不安を解消する“特効薬”は結果だと強調。「一番不安を解消できるのは結果。この3週間でやってきたこと。今までは縦へ速いサッカーをやってきたけれど、縦へも速いけれど、失わないときは失わないように、もっとボールを動かしてみようよと言っているので。そういう風に変わったことによる不安はあると思うので。それを解消出来るのは結果だと思う」と話すとおりだ。

「初戦が終わったとき。自分たちがやってきた3週間を振り返って、やっぱり3年間やってきたことの方がいいじゃんってなったら、今年の順天堂大は期待できない。でも、このまま続けてやっていければ大丈夫だって思えれば」。今季を占ううえで重要となる開幕戦は、4日に味の素フィールド西が丘で行われ、順天堂大は明治大と戦う。

 新生・順天堂大へは否が応にも注目が集まる。「順天堂大学のOBも含めて、私が元プロでサッカー協会の育成を担当したということも考えると、皆さんが期待値というかハードルを高くしていると思うんですね」と微笑んだ堀池新監督。

「現状を分析すると、順天堂大は関東1部のなかではトップレベルではない。明治大、流通経済大、専修大というのは戦力も充実していますし。そういう意味ではハードルを上げて期待されてもなぁと思うんですけど……」と言いながらも「逆にその期待に応えたいというのと、他の大学の方々も順天堂大はトップではなく、何番手くらいかな。なんて思っている人も多いと思うから。そういう人たちを見返したいというのはありますね」と静かな闘志を燃やした。

 母校を率いることを「名誉なこと」と話した堀池監督。今後は順天堂大の准教授として授業を受け持ちながら、蹴球部監督として指導する。「余程のことがない限り、準教授という身分でいると定年までは働けるのかもしれない」と話しながらも、「自分自身も大学で結果を出して、Jから誘われるような指導者になりたいとはもちろん思ってます」とキッパリ。「しっかりといいマネージメントをして、いいサッカーをやって、結果を出したいですし。そういうことがあれば評価される」と先を見据えた。

(取材・文 片岡涼)

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