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[関東]3戦未勝利と苦しむ絶対王者・専修大…リーグ制覇のみ知る世代の苦悩

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[4.15 第89回関東大学リーグ第3節 専修大0-1法政大 三ツ沢陸]

 絶対王者が苦しんでいる。“攻撃的で美しいサッカー”を掲げ、4連覇を遂げてきた専修大。5連覇を目指す今シーズンだが、開幕から3戦未勝利(2分1敗)。第1節・流通経済大戦(1-1)、第2節・神奈川大戦(0-0)と連続で引き分けると、第3節では法政大に0-1で敗れ、早くも土がついた。

 スピードに乗った華麗なパス回しで敵陣を切り裂き、瞬く間にゴールを奪う専修大のスタイル。ここ5年は1試合平均2得点を上回ることが多かったが、今季は3試合を終えて、わずか1ゴール。第2節以降は2戦連続無得点という状況だ。

 昨季はFW仲川輝人(現・横浜FM)やDF北爪健吾(現・千葉)、FW前澤甲気(現・ソニー仙台)ら豊富なタレントを抱え、凄まじい攻撃力と安定した守備力でリーグ制覇を果たした。しかし、今季のチームは何かがかみ合っていない。

 “攻撃的で美しいサッカー”という信念が強いあまり、その言葉で自分たちを呪縛。目前の選択肢を吟味せず、ただひたすら前へボールを運ぶことに専心している印象だ。単調なスピードでの攻撃。速さはあるものの、時間とともに相手も慣れて来てしまい、決定機からは遠ざかる。無得点が続く焦りから自滅。リズムをつかめないまま時間だけが過ぎている。

 源平貴久監督は「単純に前へ前へなだけ。サッカーではなくなっているところがある。声やジェスチャーで『止まって』などを言う自信が無いのかな。表現力がちょっと足りないのかなと感じる」と言及した。

 未勝利が続くなか、ミーティングを重ねているものの、チーム状況は好転しないのだという。主将を務めるDF萩間大樹(4年=川崎F U-18)も「本当にもどかしい。周りの選手が何を考えているかわからない。ピッチでもミーティングでも、こっちの意思を伝えても、要求がないからどう思っているかわからない。相手の意見がわからないから、次にどうしたらいいかわからない」と八方塞がりな状況を嘆く。

 勝っている時は誇りであり、拠り所であった“攻撃的で美しいサッカー”。この抽象的な言葉が選手たちの意思統一を阻み、歪みを生んでいる。それぞれが考える“美しいサッカー”にわずかなズレがあるため、チームとして戦っているはずが孤軍奮闘の状況になっているのだ。些細な意識の差が原因となり、連携ミスや状況判断によるミスが頻発している。

 専修大の現4年生は、入学した年にリーグ連覇を経験。ここまで優勝しか知らない世代だ。萩間は「4年間(リーグ戦では)ずっと勝ってきて、こうなったときにどうしたらいいか」と頭を抱える。とはいえ、昨季卒業した仲川らの世代も同じ状況だった。1年生から3年生まで優勝しか知らず、自分たちが最上級生となった年は苦しみながらも4連覇を遂げた。

 萩間は昨年の4年生は、それぞれが“飴と鞭”のように役割があったと振り返り、「もっと一人ひとりが変わらないと。危機感をもってやらないと勝てない」と力を込めた。また、「例えば明治大は一人ひとりがやることはわかっているし、強い。うちは弱いのに『俺たちは強いんだぞ』と思っているようにも感じる」と絶対王者としての驕りがあるのではとも指摘した。

 次節は中2日で行われるため、立て直すための長い時間はない。源平監督は「表向きには攻撃的にといっていますが、今週はロースコアでも勝てるように頑張りたい。1-0でもとにかく勝ち点3を取れるように」と意気込む。まず1勝すれば、先輩たちから引き継いだ勝者のDNAが目を覚ますはず。手遅れになる前に専修大は再起できるか。

(取材・文 片岡涼)
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