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[MOM1368]中京大中京FW柳完治(3年)_2得点絡む活躍、今後の飛躍に期待の“未完の大器”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.25 高円宮杯プリンスリーグ東海第3節 中京大中京高 2-0 四日市中央工高 名古屋市港サッカー場]

「今日は特に攻撃の良さが存分に出た試合。特に柳が良くて、これまで見たことない位のプレーを見せてくれた。MVP級の活躍。相手にとっては非常に嫌なプレーだったと思う」。試合後、中京大中京高の岡山哲也監督が饒舌に称えたのがFW柳完治(3年)。これまで定位置を掴み切ることができなかった“未完の大器”が全得点に絡む活躍を見せ、苦しむチームに今季初勝利をもたらした。

 まず、最初に魅せたのが前半12分。後方からのパスをPAでしっかりとおさめ、相手DFのファールを誘発して、PKを獲得する。これをMF辻星哉が決めて先制すると、24分にもゴール前中央でDFを背負いながらも、ロングボールを冷静にトラップ。中央に侵入したMF福山大貴の足下へ正確に落とし、2点目となったミドルシュートを引き出した。

 岡山監督からも「普段はボールをおさめる時にバタバタするんだけど、今日はきっちりおさめてくれた」と高評価を受けように、35分にピッチを退くまで攻撃の起点として機能。柳も「今週1週間は声を出して、良い雰囲気で練習ができた。練習通りの攻撃から得点できて良かった」とチームとして結果を出せたことを喜ぶ一方、「FWは結果が全て。点を獲れなかったので素直に喜べない」と自身の出来に不満も。ただ、この日見せたパフォーマンスは今後の飛躍を期待させるモノだったことは間違いない。

「自分はポストプレーが特長。ずっと前線で身体を張って潰れる役割をやってきた」と自己分析するようにガタイの良さを活かしたプレーが光る選手だったが、「元々、力は持っていたけど柔軟性がなく、自分の形でばかりプレーして伸び悩んでいた」(岡山監督)。柳自身も「高校に入学してから2年間、中京のために上手くプレーが出来ていなかった。でも、最終学年なので何とか結果を残してやろうとい思っている」と話す。気持ちの変化はプレー面でも表れており、「これまでは打てる場面でも相手をかわしきってから打たないとか、コースがあるのに打たないことが多かったけど、3年になってからはゴールに対して貪欲になった。自分は上手い選手じゃないので、綺麗にプレーするのではなくドンドン身体を張ってゴールに絡みたい」と続ける。岡山監督も「3年生になって、自分のプレーの枠を外せるようになっている」と彼の変化に目を細める。彼の貪欲な動きとポストプレーが今季の中京大中京を大きく左右するのは間違いなさそうだ。

(取材・文 森田将義)

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