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「NIKE MOST WANTED」2日目、日本人初のナイキアカデミー入りへ評価高める渡邊凌磨と渡辺柊斗

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 現地時間2日、世界で戦える若き才能を発掘する世界的なスカウトプロジェクト、「NIKE MOST WANTED」はイングランド代表の本拠地であるセント・ジョージズ・パークにて、グローバルファイナル2日目を行った。セント・ジョージズ・パークに滞在して約6か月間のエリートトレーニングの機会や欧州プロのスカウトの機会を得られる「ナイキアカデミー」入りを懸けて、21か国・地域の若き才能・34名が参加している最終セレクション。国内選考会を勝ち抜き、“日本代表”として日本人初のナイキアカデミー入りへ挑戦しているMF渡邊凌磨(前橋育英高→早稲田大)とMF渡辺柊斗(東海学園高→東海学園大)が、評価を高めている。

 2日目は午前中に7対7プラスフリーマンのメニューを約1時間30分みっちりと行い、午後はパス&コントロール、パス出しするコーチの指示によって1対1、2対2、3対3、4対4と変化するシュートゲームを行った。トレーニングメニューの中で技術や身体能力、判断力などをチェックされているが、ボールを持った時の2人の動き、クオリティの高さは別格と言えるほど。「昨日は最初からやり切れなかった。後の方から良くなっていったのできょうは最初から飛ばしていかないといけないと思ったので、それは少しはできたのかなと思う」と振り返る渡辺柊が午前中のセッションから再三個人技でDFを剥がし、相手の急所を突くようなパスを連発すれば、年代別日本代表や日本高校選抜で海外選手との対戦経験豊富な渡邊凌も「その選手の特長を見ればどっちに来るのか分かるし、外国人は自分が思った方に動いて来るのでやりやすい。左利きだったら絶対に左に来るし、外国人ってそういう個の特長を絶対に曲げないというか、そういうところがあると感じているので読みやすい」という外国人の動きの特性を見抜いたボール奪取から、ライバルたちをまるで相手にしないようなボールキープを見せ、ラストパス、シュートへと持ち込んでいく。

 日本人2人にとっては慣れない英語でのコミュニケーション。また欧州、南米、アジアから集まった選手たちそれぞれのサッカースタイルの違いが彼らを苦しめる。プレッシングで追い込んでいるのに味方がついて来ていなかったり、攻撃でも味方が「(日本の感覚では)誰が見ても間違っている」というポジショニングを取っているためにチャンスを逸したり、2人にとってはストレスも抱えながらのプレー。英語を聞き取れても、コーチングなどの声が出ず、またミスを怖れずにチャレンジして来る外国人選手たちに比べると消極的に映るシーンがあることも確かだ。それでも特に攻撃面で違いを見せつけている2人は、ナイキアカデミーのスタッフからの関心が高く、また現在ナイキアカデミーに所属している逸材たちの中でも「日本人がいいらしいね」と評判になっているという。セレクション最終日に行われる11対11のゲームではナイキアカデミーの選手たちとの対戦も予定されているだけに、渡邊凌と渡辺柊の2人は、彼らを上回るパフォーマンスを見せてナイキアカデミー入りする資格があることを証明する。

 「NIKE MOST WANTED」はイングランド代表のトレーニング施設をフル活用するスケールの大きなイベント。わずか3日間のセレクションだが、2人は自分たちの成長を実感している。また、世界で、より高いレベルで戦うための課題が見えてきているだけに、その「気づき」と「改善」を繰り返してより高いレベルの選手になりたいと感じている。2人の海外への想いは強くなるばかり。渡邊凌は「元々そういう意思が強くあったので、行けるチャンスがあったらどんな状況でも行きたいと思っています」と語り、渡辺柊も「海外でやりたいと思いますね。人間としても成長できる」と言い切った。現地時間3日夜には合否が決定。2人の“日本代表”が最終日もアピールし続けて、海外への道を切り開く。

(取材・文 吉田太郎)

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