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スピードスターを完全封鎖…横浜FM小林の頭脳的ポジショニング「相手の話を聞いて…」

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[5.6 J1第1ステージ第10節 横浜FM 2-0 名古屋 日産]

 スピードスターを完全封鎖した。この試合、横浜F・マリノスは従来のシステムである4-2-3-1ではなく、名古屋と同じく3-4-2-1を採用した。右アウトサイドに入ったDF小林祐三の対面には、2試合連続得点中のFW永井謙佑が構えていた。

 右SBが定位置の小林だが、この日は一列前に当たる右アウトサイドでプレー。小林はこのシステム変更により、「やることがはっきりした」と語っている。「後ろにカンペーさん(MF富澤清太郎)がいる分、自分はある程度ライン際を守れましたし、今までの試合のように余計なことを考えずにすみました」。

 この試合、永井のシュートはわずかに1本。それもロングシュートのみ。小林がそれだけ永井をゴールから遠い位置でプレーさせたわけだ。スピードスターをケアするにあたっての注意点は、「後ろのスペースを空け過ぎないようにすること。そこを空けると相手のシャドーの選手や川又(堅碁)選手が走り込んでくるので、そこの選択肢をなくしてから、永井選手を見るという繰り返しでした」と語ると、「割とうまくいったかなと思います」と充実の表情を見せた。

 守備面だけでなく、後半6分には果敢な飛び出しから送ったグラウンダーのクロスがMF中町公祐の得点を導くなど、攻撃面でも貢献。幾度となく敵陣深くまで攻め上がることで、得点場面以外でも好機を生み出すだけでなく、永井のポジションを自然と下げることにも成功している。

 ここに、小林の驚くべき観察眼があった。「詳しくは言えませんが、僕が高い位置を取ったときの名古屋の選手の話している内容を聞いて、(自分のプレーが)どれくらいうまくいっているかを感じられます。そこで、自分がどこにいるのがベストなのかを考えていました」。相手チームが話している内容を聞いて、細かくポジションを変える。頭脳的ともいえるポジショニングが相手のキーマンを抑え込み、チームに勢いをもたらす要因になった。

(取材・文 折戸岳彦)
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