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強豪・柏日体高が相互支援契約で“柏アカデミーのひとつ”に。新しい形の強化策で戦国・千葉制覇目指す

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 昨年、一昨年と関東大会に出場している千葉県の強豪、柏日体高が地元のJ1クラブである柏レイソルと相互支援契約を結び、新たな強化へ乗り出した。柏、水戸、愛媛で活躍した柏アカデミーコーチ、永井俊太氏が柏日体のヘッドコーチに就任。柏日体の片野慶輝監督によると、「レイソルとしてもアカデミーのひとつとして柏日体高校サッカー部を強化していく」ことになったという。永井氏は2月の就任から連日、柏日体を指導。市立船橋高で10番を背負った元U-20日本代表で、J1、J2で計142試合に出場した経歴を持つ永井氏は「みんなも当然全国、選手権に行きたいと思っている。僕も関わらせて頂いたからには結果を出したい。勝たないといけないと思います」と目標を掲げてスタートしている。

 地域密着の考えを持つレイソルと、柏日体との提携についての話し合いは昨年本格化。レイソルサイド、そして鈴木誠治校長をはじめとした学校サイドのサッカーに対する情熱、理解もあって今年2月に契約を結ぶ運びとなった。これによって、レイソルから永井氏が柏日体へ派遣されたほか、柏日体のアスリートコースに籍を置く1年生選手が週2回、各2時間ある専門体育の授業でレイソルの練習場である日立柏グラウンドで柏アカデミーコーチから指導を受けている。また、柏日体サッカー部員が柏U-18のトレーニングに参加するという試みもスタート。加えて、現在はまだ発想のひとつの段階だが、柏日体で活躍する選手が在学中に柏U-18へ登録変更するということが将来的に実現することもありそうだ。

 チームの強化とともに、「柏レイソルを応援したい」という柏日体に対し、レイソルにとっても指導者育成という面での効果がある。永井氏は「勉強の場ではないですけど、高校生という高いレベルで指導させてもらえるのはクラブとしても個人としてもありがたいこと」と語る。昨年まで柏U-13を指導していた永井氏は柏U-18のコーチを務めていた経歴も持つ。そして高校サッカーの有力校を指導することで、将来へ向けて大きな経験を積むことができそうだ。

 他にもレイソル側のメリットはある。今年から、柏U-18に所属する1年生全員が柏日体へ進学。同じ高校に通学することによって将来的にはトレーニング時間の確保も可能になりそう。また、柏日体が柏U-15やレイソルトーア(柏レイソルA.A.TOR'82、前・柏イーグルスTOR'82)から柏U-18へ昇格できなかった選手たちの受け入れ先となっているため、レイソルのアカデミースタッフは中学時代に指導していた選手を高校でも見守ることができる。「レイソルは選手育成に力を入れているし、上がれなかった選手達のその後を見ていきたいという想いがある。これまでは(高校へ進学する際に)バラバラに分かれてしまっていたけれど、中学までの6年じゃなくて9年見ることができる」(片野監督)。成長のペースが遅かった選手も、柏日体サッカー部で評価を高めてレイソルのトップチームへ入団するという道が広くなった。

 新体制の下でスタートした柏日体の強化は順調だ。千葉県1部リーグでは習志野を2-0で撃破するなど上位争いを展開中。片野監督は「レイソルのサッカーをベースに、ボールを大事にしていかにスペースをつくるか。永井さんにはパストレーニングから非常に丁寧に教えてもらっている。(選手たちは)最初やっぱり戸惑っていましたけれど永井さんの指導は丁寧ですし、ストロングポイントを伸ばしてくれるんで、今は選手たちの目の輝きが違いますね。レイソルのトレーニングメゾットを活かしながら高校サッカーでも存在感のあるチーム作りをしていければいい」と期待する。

 永井氏は“プロ予備軍”である柏U-18と柏日体との比較について「(柏日体も)選手個人は能力高い子が多いので、そんなに変わらないと思います。(柏U-18の選手は)小学生から止める、蹴るはやっているんで、その点に関してちょっと違いはあるのかなと思いますけれど。柏日体も知識が入ったら面白いかな。能力高い子が多いですよ」と期待する。「(最初に手がけたのは)オーガナイズする(設計図をつくる)というところですかね。全員で守備も攻撃もすること。しっかりオーガナイズしてみんなでサッカーするというところから最初は入りました。みんな個性があるので、オーガナイズがあった方が、その中でやった方が彼らも自分の個性を出しやすかったりするので、みんなでしっかりグループでサッカーできるようにはなりたい。基本はボールを大事に支配してということはやりたい。ただし、彼らのやってきたサッカーもあるし、個人の特長もある。いい形で変化させることができれば、レイソルのサッカーだけをやろうとは思いませんし、彼らが楽しいサッカーを当然オーガナイズのある中でやらせてあげられればいい」と語った。

 どちらかというと切り替え速く、縦へのスピードの速い攻撃を特長としていた今年の柏日体。エースFW藤岡優也をはじめ、個で打開できる選手が多いチームは永井氏の指導の下、レイソルのアカデミーの特長であるボールを大事に、また判断の良さを加えて多彩なサッカーができるようになってきている。CB羽布津優之介主将は「俊太さんはミスしても『全然大丈夫だから』と前向きな言葉をかけてくれるので、頑張れる。俊太さんが来て、相手にハメられたときにも開放できるパスの回し方だったりを教えてもらって、自分たちのサッカーの幅が広がりました。ドリブルで崩せるし、パスでも崩せるような。また、前までは我の強いヤツがボールを回せ、回せと言っていたけれど最近は落ち着かせてコートを広く使っていこうと言っている。(選手間でも)前向きな発言が多くなっている」と効果を口にした。

 目標は「全国行っていい成績を残したい」(羽布津主将)。千葉は市立船橋や流通経済大柏、習志野、八千代といった強豪が名を連ねる全国屈指の激戦区。これまで選手権出場のない柏日体が、千葉を勝ち抜くためにスタートした改革が勢力図を変えるか。また、柏日体がどのようにして階段を上っていくのか、注目だ。

[写真]戦国・千葉制覇を目指す柏日体イレブン


(取材・文 吉田太郎、協力=柏日体高校サッカー部)

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