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[MOM1371]桐光学園FW小川航基(3年)_U-18代表主力の「怖い」選手、本人不満もレベル高い90分間

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.10 高円宮杯プリンスリーグ関東第6節 桐光学園高 1-1 三菱養和SCユース かもめパーク]

 Jスカウト陣が見つめる中で注目ストライカーが見せたプレーは桐光学園高・鈴木勝大監督が「まだ6割。もっとやれると思います」と厳しい評価を下し、本人も「まだまだ全然こんなもんじゃない」と納得していなかった。それでもキープ力と打開力、周囲を活用する巧さ、心肺機能の高さを活かした献身的な守備など、桐光学園のU-18日本代表FW小川航基主将(3年)のプレーは1ランク上のレベルにあった。

 鈴木監督が「高校生のレベルでは余裕もってやれているんで、あとは決めるべきところの課題とかですかね」と語り、U-18日本代表候補合宿や関東トレセンでともにプレーしている三菱養和SCユースのMF瀬古樹主将も「あのサイズであの足下というのは脅威ですし、すぐ反転されたりしてウチは結構危ないシーンとかつくられていて怖い選手です」とその実力を認める小川。相手が警戒する中、中盤へ降りて攻撃を組み立てたり、高い位置で受けてラストパスや、その1本前のパスを出して攻撃の流れをつくり出していた。

 後半はなかなか前線にボールが入らない中でのプレー。それでも8分に左サイドから縦に仕掛けてシュートへ持ち込み、42分には鋭いターンからの突破でDF2人を置き去りにして決定的なシュートにまで持ち込んだ。DFの股間を狙ったシュートは得点に結びつかず「あそこで決めきるというところまでやらないと本当に意味がない。あそこで2人ぶち抜いて、ゴールもぶち抜ければ最高のシーンだったんですけど」と悔しがったが、相手ベンチから「最後は9番に来るぞ」という声が上がる中で試合を決めるような動きを見せていた。

 1年時から先発を続けてきた桐光学園の絶対的なエース。「自分の強みはキープ、前線で起点になれるというところとシュートも打てば入るという自信がありますし、あとクロスに対しても飛び込んでということができるんで、そこは強みとしてやっていく」。プロ1年目の選手含めて逸材揃うU-18日本代表で1本目のFWとして起用されている小川への期待値は非常に高い。今年の桐光学園は全体的に技術レベルが高く、小川だけに頼らないチームになっているが、プリンスリーグではここまで1勝3分2敗で9位。「無敗優勝というのを掲げていまして、それを掲げ、この結果というのは本当にレベルが低いと思います。中断期間で空きますけれども明けたところから突っ走ればまだまだ可能性はあると思う」と主将は巻き返しを誓っている。

 小川自身、ここまで6試合で3得点という結果には満足していない。「キープというところとか周りを活かすというところではできていたと思いますけれど得点も取れていないし、シュートも全然打てていない。もっと裏。足下足下となると相手もサンド、プレスバックして来るんで、落ちるフリして抜けるということをしていけばもっとフリーになれる。ランニングしていかないといけない」と課題改善に意欲を見せた。まずはプリンスリーグから切り替えて、6月に始まる全国高校総体予選へ集中。「インターハイで上に行けばプロからも見てもらえますし、大学からも見てもらえます。インターハイ日本一目指して取れたら自信にもなるし、注目されると思う。自分も他のヤツらもメンタル的に成長できると思う。まずは、やっぱり神奈川で『桐光強いな』ってところを見せつけたいと思う」。日本一を目標を掲げる桐光学園。神奈川ではライバルチームのターゲットになることは間違いないが、その包囲網をチームで破ること。そして小川自身も将来のために、見る者の印象に残る大会にする。

(取材・文 吉田太郎)
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