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[総体]かつてないほどの団結力が武器、東京朝鮮が多摩大目黒との接戦制して東京8強入り

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[5.24 全国高校総体東京都予選1次決勝 東京朝鮮高 1-0 多摩大目黒高 駒沢2]

 平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技(兵庫)東京都予選1次予選決勝の東京朝鮮高対多摩大目黒高戦が24日に行われ、東京朝鮮がFWリャン・ヒョンジュ(2年)の決勝ゴールによって1-0で勝った。東京朝鮮は6月14日の2次予選準々決勝で帝京高と対戦する。

 東京屈指のアタッカー、リャン・ヒョンジュと左利きの司令塔・MFリ・キョンチョル(3年)をはじめ、チームの流れを変える存在であるMFキム・ソンホ(2年)とレベルの高い選手たちのいる東京朝鮮に対し、多摩大目黒は今年の東京都1部リーグで開幕8連敗中。苦しい展開が予想されたが、序盤から決定的なシーンをつくり出していたのは多摩大目黒の方だった。

 まずは6分、最終ラインの背後へ飛び出したFW鯵坂賢(2年)の右足シュートが右ポストを直撃。25分にも背後へ抜け出したMF中村亮太(1年)が決定的な右足シュートを放つ。東京朝鮮は主将のCBキム・ファンジ(3年)が「(多摩大目黒が)前からガツガツ、ロングボールを放って来たし、パワープレーで来て自分たちは思い通りにできなかった」という内容。多摩大目黒が精度の高いフィードをスペースへと落としていたことに加え、東京朝鮮は最終ラインの連係が乱れてしまい、背後を取られるシーンが目立った。

 それでも攻撃力を発揮する東京朝鮮は19分にPAで仕掛けたリャン・ヒョンジュが決定的なシュートを放ち、32分には左サイドを突破したMFカン・ドゥホ(3年)の右足シュートがゴールを捉える。また36分には右サイドからMFキム・スンヒョン(3年)が出した横パスに角度をつけて入りこんだキム・ソンホが縦へ抜け出し、38分にもリャン・ヒョンジュがゴールライン際を個で打開するなどチャンスをつくった。だが、GK大野隆滉(3年)中心に集中力の高い多摩大目黒のゴールを破ることができない。

 逆に多摩大目黒は後半8分、右サイドのスペースを突いた鯵坂が切り返しからクロスバー直撃の左足シュート。会場をどよめかせたが、個で上回る東京朝鮮は9分にキム・ソンホとのコンビからPAへ侵入したリャン・ヒョンジュが決定機を迎え、19分には交代出場のMFチェ・ギョンオ(3年)がPAでの切り返しから決定的な左足シュートを放つ。23分にもカン・ドゥホの仕掛けからリャン・ヒョンジュにラストパスが入るが、多摩大目黒はゴールエリアで必死のディフェンス。重みある1点を簡単には渡さなかった。

 それでも後半23分、東京朝鮮はキム・ソンホの左クロスからリャン・ヒョンジュが打点の高いヘディングシュートを叩き込んで待望の先制点。キャプテンマークを巻いたMF中島慶之や10番MF福本純也(ともに3年)を中心に反撃する多摩大目黒もセットプレーからビッグチャンスをつくり、サイド攻撃からFW加藤天馬(3年)がPAへ切れ込むなど反撃したが、リ・キョンチョルがカバーリング良く要所を締めたほか、キム・ファンジ中心にゴール前で体を張る東京朝鮮の守りを最後までこじ開けることができず。東京朝鮮がベスト8進出を決めた。
 
 東京朝鮮の高隆志監督は今年のチームについて「上手さは昔の先輩よりはないです。年々レベルはダウンしていると思いますけれど、いい伝統というかチームワークがある。80人が皆団結しているかなと。レギュラーじゃない子が心から試合を応援している。これまでなかったことだと思います。(東京朝鮮の指導を)27年していますけれど、今年のチームはそういうところが格好いいなと」。戦力値は決して高くないが、それでも高監督が絶対的な信頼を置くキム・ファンジ主将中心にまとまり、「ガッツがある」チームになっている。

 キム・ファンジは2次予選へ向けて「全国出るのが目標なのでどんな相手が来ても自分たちの気持ちを前に前に出して、根性と気持ちで絶対に負けないサッカーをして、最後は自分たちが笑って全国に必ず出るっていうところを見せたい」。近年、都内トップレベルのタレントを擁した年もあったが、全国大会に進むことができていない東京朝鮮。今年は「かつてないほどの団結力」を武器に歴史の扉を開く。

[写真]東京朝鮮のエース、リャン・ヒョンジュ(左)は決勝点を奪った

(取材・文 吉田太郎)
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