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長男誕生で3度揺りかごパフォの大宮GK塩田も笑顔「何人、産まれたんだよ!」

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[5.31 J2第16節 大宮2-0福岡 NACK5]

 J2リーグ戦で首位に立つ大宮アルディージャの強さを象徴するようなシーンだったかもしれない。後半アディショナルタイム1分、途中出場したFW清水慎太郎がゴールを決めると、複数の選手たちがベンチへと駆け寄った。26日に第一子となる長男が誕生したGK塩田仁史と一緒に、揺りかごのゴールパフォーマンスをするためだった。

 さらに、アディショナルタイム4分に、こちらも途中出場したFWムルジャが2点目を挙げると、セルビア人FWもベンチ前に行き、塩田と一緒に揺りかごダンスを踊った。そして、試合後にはゴール裏のサポーターの前で3度目となる揺りかごダンスを披露した。

 ミックスゾーンに入って来た塩田は「恥ずかしい。何人、子供が産まれたんだよ!」と顔をクシャクシャにした。「試合前からチームメイトのみんなが『やろう』と言ってくれていました。ムルジャも試合に出る前に、オレのところに来て『今日はゴールを決めてくるから。一緒に息子の誕生を祝おう』と言ってくれました。ああやって、サポーターのみなさんも祝福してくれたし、本当に息子が産まれてよかったです」と、喜ぶ。

 今シーズン、大宮に加入してから、まだ出場機会のない塩田。だが、普段の練習から全力で取り組み続け、チームの一体感をつくり、ベンチからも試合に出場している選手たちを盛り上げている姿勢が、チームメイト、ファン・サポーターに認められている証だろう。

「感謝の言葉しかないですね。まだピッチにも立っていないし、なかなかチームに貢献できていません。ただ、今の好調というのは、オレもそうですが、ベンチにいる選手、ベンチから外れている選手とかも、日ごろから質の高い練習ができているから、今、こういうレベルの高いサッカーをやれていると思う。それはチーム全体のことだと思う。もちろんピッチに立っている選手は素晴らしいし、彼らの功績です。でも、オレはどっちの部分も見ている。今までの大宮にない、練習から切磋琢磨して、レベルの高い競争ができているからだと思う」と、塩田は首位に立つチームを見つめる。

 実際、この試合でもゴールを挙げた2人はベンチスタートだ。「試合に出ている選手たちは、紅白戦では、あの2人を相手にして練習している。対戦相手より、紅白戦でやっている相手の方がレベルは高い。それくらいのイメージで練習をやれていると思う。それが強いチームをつくるために重要なことだとオレは思っているし、渋さん(渋谷監督)もそう思っているだろうから。練習から内容の濃い練習ができているのは、重要なことですよね」。

 FC東京時代の2011年にJ2優勝を経験している守護神は、この競争力と一体感を維持することが重要だと続ける。

「プロとしては、ピッチに立つことが重要なことなので、試合前日までは練習からバチバチやっているし、練習から削ることもある。厳しい戦いをしながら、みんなピッチに立って行く。(出られないと)複雑な気持ちはもちろんあるけど、とにかくみんなプロフェッショナルな立ち居振る舞いができているということ。ただ、まだまだリーグ戦は続く。今日は途中出場した(清水)慎太郎、ムルジャがゴールを決めて、試合を決めたけど、そういうことが重要になってくる。大変なのはここからなので、浮かれることなくやっていきたいと思います」と、気を引き締めた。

(取材・文 河合拓)

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