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バイエルンU-16コーチ指導のトレーニングマッチ…日本はアメリカに快勝、ブラジルと分ける

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 3日、「adidas UEFA Young Champions 2015」に参加する3チーム、日本、ブラジル、アメリカが、ドイツ・アディダス本社内にある「アディ・ダスラースタジアム」で合同練習を行った。アディダスと契約をしているドイツ代表や、MF香川真司(ドルトムント)らも訪れるという同施設での特別なトレーニング。さらに今回は、今夏からバイエルンU-16の指揮を執る、ベニンガーコーチが指導にあたった。

 2人1組になっての1タッチ、2タッチでのリフティングにはじまり、マーカーを使ってのパス練習、日本とブラジルにアメリカの選手が混合した鳥かごなどのトレーニングを行った後は、6対6でのゲームに入った。日本チームにとっては初めての実戦。さらに相手の実力をはかるうえでも、またとない機会となった。

 まずアメリカと対戦した日本は、MF福田崚太(横浜創英)が放ったチーム最初のシュートが幸先よくゴールネットを揺らす。「日本をなめてくるだろうから、やってやろうと思った」。福田は渾身の一撃を振り返る。同じ高校で日頃から福田を見ている梶山健太郎監督(横浜創英)は「(試合になったら)スイッチが入った表情や声の出し方をしていた」と世界を相手にしても臆さなかった教え子を讃えた。その後、DF鱧谷太亮(興國)が加点した日本は、キャプテンのMF大矢啓太(滝川二)がGKもかわす技ありのゴールでダメ押し。3-0でアメリカを一蹴した。

 初戦をいい形で終えたことで続くブラジル戦でも互角以上に渡り合った。ドリブルで仕掛けてくることが想定されたが、パスをつないできたブラジル。「前から追わずに少し後ろで構えよう。選手間で声をかけてカバーリングの意識を高く持とう」というアメリカ戦での反省をふまえた梶山監督の指示を忠実にこなし、スコアレスで試合を進めると、CKの流れからDF梅澤崚(佐野日大)のクロスに大矢が合わせて日本が先制する。攻撃がうまくいかない上に先制を許したことで、ブラジルの選手のフラストレーションはたまっていく。「イライラしていなくても球際強かったのに、イライラしてからはヤバかったです」と福田はブラジル人選手の印象を回想。その後、ギアを上げたブラジルに1点を返され、1-1で試合を終えた。

 ブラジルの攻撃陣と対峙した鱧谷は「ブラジルのトップの選手がボールを要求するときに、自分に体を当ててきたので守りづらかった。ファウルをもらいにいくような仕草もされたし、ずる賢かったですね」と南米の選手ならではの上手さを感じた。

 練習後、ベニンガーコーチは日本の印象を「1つ1つの練習で集中力を欠いていた。最終的には勝つことが一番大事なことで、彼らは勝つことができたが、ベーシックなテクニックを向上させればもっと上達することができる」と語ったが、藤森大介監督(滝川二)は集中力よりも積極性に問題があったと指摘。「コーチが英語で話しているときに、反応が悪い。積極的に自分たちで行動しないといけない。ブラジルも、アメリカも声を出す選手が2、3人いたので、日本語でもいいから恥ずかしがらずに声を出せば、さらにいいプレーができる。せっかくのチャンスなので、もっとアピールしてほしい」。若き“日本代表”の飛躍を期待する。

 この日のトレーニングを経て「優勝できると思っている」と梶山監督は本番での展望を明かす。日本、ブラジル、アメリカに地元ドイツも加えた4チームで世界一を争う「adidas UEFA Young Champions 2015」は、明後日本番を迎える。

[写真]アメリカ戦、得点を決めたMF福田崚太(中)と左サイドからチャンスメイクしたDF梅澤崚(右)

(取材・文 奥山典幸)

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